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ガラスの墓標 |
1969年仏=伊=西独。監督 ピエール・コラルニック。出演 セルジュ・ゲンズブール。ジェーン・バーキン。
NYマフィアの殺し屋、ロシア系のセルジュ。命令でパリのエメリー一家を壊滅させるために渡仏するが、飛行場でエメリーの部下に捕まり、傷を負い、飛行機でナンパしたジェーンに匿ってもらう。そこへ相棒のポールが来てエメリー一家に反撃を開始。セルジュはジェーンを愛するあまり、マフィアから足抜けを考えはじめ、ポールとの亀裂を生む。
アクション・シーンがゆるい。弾着はないし。
でもそこそこ面白かったです。
世紀末のようなパリ。ジェーン・バーキンも魅力たっぷり。ファッションもそうですし(今のギャルファッションっぽい)、アンドロイドのような彼女だからこそ、何度もしつこいくらいでてくるラブシーンも生々しくなく、あっさりと見られます。音楽は若かりしころの中村雅俊がでてきそうな感じ。それと出てくる車もよかったです。とくにラストの追撃戦でポールが乗ってる2ドアクーペ(名前はわからない)が。インパネがかっこいい。ハンドルといい自分のべレットに似た雰囲気。
大臣令嬢のジェーンが小汚い殺し屋に一目惚れ、しかもぞっこん。こんなのないよなぁー。とか思いながら見ていたのですが、ひょっとしたら人を好きになるのは理屈でないので、これはこれでありかも、と自分は思いました。 |
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華氏451 |
1966年英=仏。監督 フランソワ・トリフォー。主演 オスカー・ウェルナー。
レイ・ブラッドベリの名作を映画化。原作のイメージを損なうことなく、うまく映像化しています。
近未来。読書を禁じられ、考える能力を押さえつけられた世界。テレビと薬づけにされた総人類白痴化。主人公は消防署に勤めている。その世界での消防士は火消しが仕事ではなく、禁じられた本を焚書するのが仕事。家屋に押し入り、ときにはパトロールをして、本を消滅させる。そのほかにも治安維持に勤めていて、長髪にした若者の髪を切ったりしている。
モンターグは消防署に勤めて5年。上司からの信任も厚く、昇進を控えている。ある日妻にそっくりな娘クラリス(妻と二役)にあい、しだいに感化され、テレビ中毒の妻との暮らしに不満を持ち始め、とうとう本を持ち帰り隠れて読むようになる。
映像が美しいです。人工的な配色。それと既存のものをつかい未来を表現していて、とくにモノレールなどは近未来(実際は在来線らしい)の雰囲気だしまくりです。「アルファビル」と似たテイスト。ただし終わり間際にでてくる空中パトロールはいただけません。はめ込み合成まるだし。そこだけ格調がさがり、作品の調和がとれなくなり、できることならヘリコプターでやってもらいたかったです。
ラストの雪降る中、本の人たちが行き交う姿はひたすら美しく詩的。 |
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鬼戦車T-34 |
1965年ソ連。監督 ニキータ・クリーヒン。レオニード・メナケル。主演 ヴァチャスラフ・グレンコフ。
1942年。ドイツ軍はソ連の戦車を使い、新型砲弾のテストをしている。イワンはドイツ軍の裏をかき、戦車ごと演習場から脱走する。戦車の乗務員はイワンをいれて四人。四人はあてのない逃亡を続け、2時間弱だが自由な空気に触れる。
無駄な場面が多いような気がします。もっと刈り込み、そして派手にやればエンターテイメントになったと思います。
とりあえず最初の歌は無駄。終わりもソ連のプロパガンダに終わり、ぴんと来ません。もっと主人公たちを描写したほうがよかったです、そっちのほうが興味があります。
戦車の疾走する場面と暴れる場面はよかったです。「戦争のはらわた」のときも思いましたが、戦車は怪物、大魔神のようなあばれっぷり。
戦闘シーンはコミカル、のどか。もちろん弾着はなく、うめき声をあげて各人が倒れます。
まともに描いたら悲惨なだけになってしまうので、わざと笑いをいれて、間延びさせたのかもしれません。
でも最後に子供が出てくるのはあざとい。主人公たち(戦車も含め)はいい味だしていたのに。
台詞でドイツ語のところにロシア語のナレーションが入ります。ロシアでは字幕じゃまずいの? ちょっと足下をすくわれたようなヘンな感じがします。
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