スパイクスギャング
1974年米。監督 リチャード・フライシャー。主演 リー・マーヴィン。
銀行強盗のベテラン、ハリー・スパイクス。田舎の少年、ウィル、レス、トッドの3人は銃弾で傷ついたスパイクスを匿う。傷が癒えるとスパイクスは去る。
ウィルは父親とうまくいかず、家出を決意。レス、トッドと一緒に3人は村をでる。はじめは意気揚々としていた3人だが、金は尽き、銀行強盗をやり、誤って上院議員を殺してしまい追われる身に。
流れ流れたどり着いたメキシコでまた強盗、入獄、そこで偶然、以前助けたことのあるスパイクスと再会。彼に牢から出してもらい、施しを受け、誘われるままに銀行強盗の一味になる。
傑作。
甘ったるいところがあろうと、褒めるのが気恥ずかしい感じのする映画であろうと、この映画は傑作です。
何がいいか?
それは最後まで見ないと分かりません。
最後の銃撃戦が素晴らしいです。派手という訳ではありません(銃弾は10発〜12発。何度繰りかえしみても判然としない)が、この大迫力は一見の価値があります。
それと銃撃戦の終わった後、開けたドアから廊下に向かって硝煙がちこめてている様など、かなり細かい描写。クオリティが高いです。
この銃撃戦があるからこそ、この映画は輝いてます。
それと死体の演技がいいです(特にロン・ハワード)。死が劇的ではなく、よくある死ぬ前に一言言い残すとかありません。あっけなく死体に変わっていきます。
主人公の家出の動機とかがあまりにも子供じみていたり、行動原理がフォローできないくらいばかげていたり、一番死にそうなやつから死んでいったりと欠点はあるのですが最後の銃撃戦でそれらは帳消し、それとみっともないほど青臭いから青春なのかもしれません。
10代のころに見たかったなぁ。

スターシップ・トゥルーパーズ
1997年米。監督 ポール・バーホーベン。主演 キャスパー・バン・ディーン。
原作がロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」。ガンダムの元ネタになったもの。自分も中学生の頃、熱中して読みました。やたら訓練シーンが多かったのですが、強化服(パワード・スーツ)の描写には夢中になりました。
映画ではその目玉である強化服が出てきません。一応部隊名が「機動歩兵部隊」ですが。
でも強化服がなかろうが、この映画は面白いです。何年か前に一度見たときはあまり面白くなかったのですが、今回見直したらかなり楽しめました。
話は昆虫型の異星人の襲来を受ける地球(地球が先に攻撃したのかも?)。高校生だったジョニー・リコは彼女のカルメンの歓心を買うため、軍隊に入隊。訓練、戦闘を通じて成長して、劣勢だった地球軍もしだいに優勢に転ずる。
アメリカのティーンズ向け学園ドラマみたいな人間関係が前に見たときは気に入らなくて好きでなかったのですが、今回はひたすらその悪趣味なくらいの突き抜けた残酷描写に、その怒濤のごとくおしよせる量に圧倒されました。
それとちょっと拒否反応を起こしてしまいそうな人間ドラマも、ちゃんと主人公は成長しますし、なんと言っても軍隊の中ではブルー・カラーとも言える歩兵兵士。おきまりのエリート将校とのいざこざもあったりと、自分も社会的に見てどう考えても主人公側なので大共感。

ロッキー
1976年米。監督 ジョン・G・アビルドセン。主演 シルベスター・スタローン。
子供の頃、といっても中学生だか高校生の頃はじめて見たときは、貧乏くさい映画だなぁ、それとファイトシーンの少なさが不満でした。勝たないところも。暗く地味な雰囲気が好きになれませんでした。
明るくスカッとする「ロッキー2」の方が自分は気に入ってました。
今回、そのころより20年もたって36才の自分が久しぶりに見ると、
いや〜、しみるしみる、映画がとても沁みてきます。特に疲弊した町、住民、主人公らが胸に迫ってきます。
クズ人間、誰も精一杯なにかをやり遂げたことのない、負け犬。
薄暗い、貧乏くささも、それは映画の予算の関係もあるだろうけど、出てくる登場人物やその背景にあるすべてが斜陽しているからで、不自然に明るい80年代に突入する以前の時代そのもの。
そしてそれは誰しもが薄々感づいている、目を背けている、自分の人生そのものです。
それゆえ、最後のファイトシーンが燦然と輝きます。ただのボクシングではありません。人生の戦いです。
きめ細やかな演出、感動的な音楽。映画自体ももちろん涙なくして見られません。

生卵を5個飲む有名なシーンは、昔は「うぇっ、気持ち悪い」でしたが、今は「コレステロール大丈夫?」です。
自分も年をとったなぁ。
トレーナーのミッキーが過去の自分の全盛時代の話をして、ロッキーは「おれにはそれがない」と言いますが、ふと我に返ると、自分自身「全盛時代」というか輝いていた時代なんてないまま36年過ぎてしまったことを思い、寂しくなります。
だから余計に最終ラウンドまで立ち続けるロッキーの姿には感動です。
TOP