ティアーズ・オブ・ザ・サン
ブルース・ウィルスじゃなぁ、ダイハード(ダイハード4として企画がスタートしたらしい)みたいな主人公には弾丸はあたらないような(それはそれで面白いのですが)夢物語なんだろうなぁ、とあまり期待しないで見ました。
期待しないと言えば、客の入りも悪いと聞いていたので、さらに拍車がかかります。
実際に広い映画館に観客は50人ほど。席数にたいして1割にも満たない数でした。
しかし!
映画はすごく面白かったです。
舞台はナイジェリア。アメリカ人医師を救うべくネイビーシールズの8人が潜入。医師に接触するも医師は患者も連れて行くなら、と断り、シールズの隊長であるブルース・ウィルスはそれを承知して患者を連れて国境越えを目指します。
描写があっさり。ドラマチックに強調することなく、淡々と映画はすすみます。あっさりしすぎ。もっと主人公を深く掘り下げるとか(なぜ主人公が命令違反をおかしてまで患者らを救出するのか、心境の変化とかの説明はいっさいなし)、シールズの面々のキャラ紹介をやるとか、ナイジェリア反乱軍との丁々発止のやりとり(黒澤明の「隠し砦の三悪人」みたいな展開を途中期待したら、あっけなく川岸での戦闘)を加えるとか、いくらでも面白おかしくできるはずなのですが、この映画は誇張することなく、生真面目すぎるほど硬質な作りに終始しています。
そこが物足りないところでもあり、この映画の利点でもあります。
この映画は10割作るところをわざと8割程度の作りで止め隙間だらけにして、あとは観客がそれぞれ埋めて完成させる、高度な映画です。
だからといって堅苦しくもなく、純粋にアクション物としても楽しめました。

一緒に見た人の感想「眠くなるかと思ったらそんなことなかった。面白かった。ナイジェリアの国内事情は知らないけど、映画の中ではひどすぎ。最後踊って終わるのは楽観しすぎのきらいもあるけど、いい映画だった。もっと客が入ってもよさそう★★★★」

死ぬまでにしたい10のこと
スペイン=カナダ。監督 イザベル・コヘット。主演 サラ・ポーリー。
主人公のアンは17才で妊娠、現在、二児の母、23才。夫と娘二人と主人公は、母親の自宅の庭先のトレーラー暮らし。夫は失業中。アンは大学で清掃の仕事をしている。
体調が悪く、妊娠しているのかと思っていた矢先、倒れて病院の検査を受けると卵巣ガン、余命3ヶ月の宣告を受ける。
アンは家族にこのことは内密にして、「死ぬまでにしたい10のこと」のリストを作り、実行していく。
いわゆる難病ものです。現実にはこのような立場の人たちがいて、自分にも知り合いだったり、実際に自分の母親も同じ病気が原因で死を迎えていたりします。遠くて近いテーマ。それ故、死ぬからかわいそう、悲しい映画なのだ、という感想はさけ、それ以外のことを書きたいと思います。
ヨーロッパ映画かと思ったらスペイン=カナダ合作映画。ロケはカナダだそうです。パンフを読むと舞台はアメリカという設定らしいです。
貧乏なわりには、自分にはそうはうつりません。普通、アンのあれくらいの仕事に対する給料では、子供を保育園にやったり、車を所有したり、それどころか三度三度の食事にも事欠きそうなのですが、悲壮感ゼロ。惨めな暮らしぶり、という訳ではなさそう。社会保障が充実しているのか、それとも映画の中だけのことなのか、トレーラー暮らしでさえ、ちょっとおしゃれな感じに見えました。
主人公がリストを作ると、あれよあれよという間に思い通りになるのはご都合主義とみるか、それとも良心的に解釈して、実は身近にあった幸福を普段は見過ごしていただけで、主人公は余命少ない状況に置かれてはじめて見つけることができた、実はあらかじめ幸福なんて身の回りにすでに存在していて、ただ皆はそれに気がつかないで生活をしているのだ、ともとれます。
清いだけの主人公ではなく、不道徳でもあり、弱くもあれば、ふてぶてしい(本音を言えばこの主人公は死ななそう。100年は軽く生きそうな印象。それは死を意識してから主人公の人生が輝きだしたからかも)と言った、人間らしさを描いた映画。
なかなかいい映画でした。たまにはこんな映画もいいモノです。

一緒にみた人の感想「見る価値なし。感想もなし0★」

アンダーワールド
米。監督 レン・ワイズマン。主演 ケイト・ベッキンセール。
吸血鬼対人狼との戦い。主人公のセリーンは吸血鬼、処刑人。銀の弾丸で人狼をさがしては殺しまくっている。いまや人狼は壊滅状態。吸血鬼の方は勝利に油断しつつあり。。。
面白いです。映像がきれい。
昼の明るい場面はなく、夜のシーンばかりなのもムードを盛り上げます。
話はそれほどたいしたことありませんが、この映像が気に入りました。
それとすべてが主人公をいかにヴィジュアル的にかっこよくみせるかに焦点を絞られていて、その割り切りかたがよかったです。
主人公もパール・ハーバーのときはぱっとしませんでしたが、この映画ではかなりイケてます。
主人公とからんでくる人間、マイケルが「死ぬまでにしたい10のこと」のクズ旦那だったとは驚き。気がつきませんでした。
DVDになったら買います。

一緒に見た人の感想。「リベリオンと似た系。よかった。シンプルな映画なのがいい。でもあれだけひっぱっておいてマイケル弱すぎ。笑えた。主人公がいちいちキメてくるのも笑えた。あと主人公のコスプレがあったらなおよかった。パート2に期待★★★」
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