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誰も知らない |
監督 是枝裕和。主演 柳楽優也。
実際に1988年に起きた西巣鴨子供4人置き去り事件をモチーフにした映画。
映画は映画で別物で、その演技とも思えない演技、おそらく自然光を多用した映像、淡々とした演出によりリアルと受け取れるか、自分はファンタジーにも受け取れるのではないかと感じました。
デパガのYOUが長男の明(12才)をつれてとあるアパートに引っ越してくる。父親は海外赴任と大家に話すが、実は私生児。しかも下には他に3人の兄妹がいて、それぞれ父親が別、そんでもって戸籍がなく、学校にも行ってない、長男以外は隠れて住むようしつけられた誰も知らない子供たち。やがて母親は神奈川の新しくできた男のところへ転がり込み、子供を捨ててしまう。残された子供たちだけの生活・サバイバル生活が始まる。
これは話を知らないで見た方が感動の純度がさらに増すと思います。自分はおおまかな話を知った上で見たので、鑑賞中、多少雑念が入ってしまいました。そんな訳で未見の人はこれから先を読まないでください。
出てくる登場人物たちの演技、というか存在が注目です。素晴らしい、の一言。型のない、大根とも、自然とも受け取れる、記号のない、リズムのない演技。これだけでも見る価値があります。
子供たちも良かったですし、YOUもいかにも子供を悪気なく捨てそうな感じが出ていてgood、サッちゃんも澄んだ魅力、タクシー運転手もリアル、その中でも一押しはコンビニの店員のタテタカコです。これがどこでこんな女優を拾ってきたんだ? たまたま映画の撮影中にコンビニにいた店員を使っているのではないか? と想像したりしました。それが見終わってパンフを見たら、歌手と知ってびっくり。しかもこの映画の主題歌を歌っている。驚愕です。
歌と言えば、彼女の歌にはしびれました。クライマックスに一度かかるのですが、そのモノレールの光景と、主人公らの心情がクロスオーバーして、胸に来ます。
映画を見ている最中、この一度放り投げられた映画を、いったいどこに着地させる気なのか? ということが気になって仕方ありませんでした。
裁判までやる? それとも警察に発覚のところで終わり? 母親は最後まで戻ってこない? どうやって決着をつける?
非常に重いテーマの映画。捨てられる命。犬かなにかのように捨てられた子供。誰にも求められていない命。親の責任。親というか人間としての責任。子供の人間としての尊厳。大島渚の「愛と希望の街」が何度もちらつきます。
でもこの映画はそんなことにはふれることなく、誰も断罪されることなく、そこがファンタジーだと思ったのですが、子供たちがこれからも生きていく、すがすがしさを感じさせる幕引きを持ってきました。
自分はこの映画の終わり方はハッピーエンドだと思います。
途中、次女が死にますが、死んだら終わり、たとえ母親に捨てられようが、学校に行けないような境遇であろうが、死んだら終わり、生きているのが幸せ、生きていなければ幸せ(それがどんなにささやかであろうとも幸福は幸福)を味わえない、というメッセージ、それがこの西巣鴨事件に材を借りた(作り手ははじめから事件の再現フィルムを作ることを放棄している。映画は娯楽ということを計算している。西武線よりモノレールの方が、少年の友達に美少女を配したりとヴィジュアルに気配り)映画の正体だろうと思いました。
というわけで、西巣鴨事件(自分は当時まったく知りませんでしたが)、あまりセンセーショナルなことをこの映画に期待すると裏切られます。実際の醜い部分を省き、きれい事に置き換えたりしています。
自分も見終わったあとは物足りなさを感じたのですが、時間がたつにつれ胸に染みてきました。
映画は映画で事件と別物と考えれば、素直に、さらに深く感動ができます。
あえて悲惨さを前面に打ち出さなかった作り方に自分は賛成です。
色々と書きましたが、それは簡単にやり過ごすことのできない、見て見ぬ振りをすることができないこの映画・描かれているテーマのせいです。
でもって色々と考えながらも、モノレールと、タテタカコの歌には無条件に感動。
モノレールと言えば、次女を連れて長男が夜、走り去るモノレールを見上げるシーンがあり、長男が次女に「いつかモノレールに乗って飛行機を見に行こう」と言います。飛行機に「乗りに行く」のではなく、「見に行く」というのが、彼らの境遇を象徴していて胸をしめつけられます。
それをふまえた上で終わりのモノレールに乗るシーンを見ると、感受性の鈍っていない人ならかなり泣けるはずです。
一緒に見た人の感想「よかった。タテタカコが特に。歌も演技も。最後は補導されて終わりかと思った。末っ子がかわいそう。長男の悪友たちが遠ざかっていく雰囲気がリアル。モノレールは脳に焼き付く★★★★★」 |
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ヴァン・ヘルシング |
米。監督・脚本・制作 スティーブン・ソマーズ。主演 ヒュー・ジャックマン。
19世紀の終わり。怪物ハンターのヴァン・ヘルシング。ローマ教会の命をうけ、トランシルヴァニアのドラキュラ退治にでかける。その地には彼の失った過去につながる手がかりがあった。
面白いです。まるで映画のクライマックスをつなげあわせたようで、緩急があまりなく、下手と言えば下手なのですが、自分はそのテンションが大変良かったです。
ツッコミどころが満載なのですが、あえてアラを探すような映画ではないと思います。敵役が主人公たちにやられるのを待っているのもご愛敬です。
敵役と言えば、ドラキュラ三人娘(花嫁)が最高でした。面白すぎます。彼女たちが主役で映画を作ってもらいたいくらいです。それと怪物の一人、フランケンシュタインもよかったです。最後は一人旅にでないで、ヴァン・ヘルシングの仲間になって、(あったとしたら)次作に出てもらいたいです。
オススメ。
でも客の入りは三割程度とずいぶんすいてました。面白いのに残念。
このような映画を見てしまうと、昔の特撮映画がしょぼくて見られたものではありません。わざとしょぼく作られたものなら受け狙いと割り切れるのですが、本気で作った奴はがっくり。
技術の進歩も善し悪し。古い特撮映画の値下がりが激しくなる一方です。
その昔、「グレムリン」のギズモは絶対本物(にしか見えない)と思ったのですが、きっとあれも今見ると作り物めいて見えるんだろうなぁ。
実際最近「遊星からの物体X」を20年ぶりに見て、だいぶ特撮の迫力が薄れていたのに寂しくなりました。これも当時の自分には本物に見えたのに。
一緒に見た人の感想「出てくる奴らも、映画自体も、すべてがバカすぎて最高。ケイト・ベッキンセールは笑わせすぎ。威張っていても弱すぎだし。吸血鬼たちはどいつもこいつもしゃべってばかりでその間に殺されちゃうし。でもいくらなんでもアナ王女を自分で殺しておいて、あのさわやかなエンディングはいいの?★★★★」 |
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ヘルボーイ |
米。監督 ギレルモ・デル・トロ。主演 ロン・パールマン。
第二次世界大戦中、ナチスに協力を得た怪僧ラスプーチンが、悪魔を召還する。米軍に邪魔をされ、出てきたのは真っ赤な赤子、ヘルボーイ。60年後、成長した彼は怪物退治に従事していた。そしてある日、ラスプーチンが復活を果たし、ヘルボーイと対決する。
面白かったです。前に見た「ヴァン・ヘルシング」も良かったですが、さらにこちらの方が漫画チックで楽しませてくれました。
気に入らない点はヘルボーイが戦闘中にしゃべりすぎなところくらいで、あとは大満足でした。彼女のリズが炎を出すシーンが美しかったです。でも見た感じ、彼女が一番強いのでは?
主役がロン・パールマン。まったくその特殊メイクのせいでわかりませんでした。時々見る役者で、自分はその中でも「ロスト・チルドレン」と「エイリアン4」がオススメです。
アメコミ物は気軽に見られ、あっというまに時間が過ぎてしまいます。中には「デアデビル」のようにすくいようのないクズ映画もありますが、たいがいは面白いです。
それと映像や、細かい小物、メカ、ファッションが凝っています。もちろん、この「ヘルボーイ」もそんな作品の一つです。
一緒に見た人の感想「面白かった。おちゃめなヘルボーイが笑わせてくれる。脳天気な感じがいい。「ヴァン・ヘルシング」よりよかった。水棲人がいい味★★★★★」
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