ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
米。監督 ジョン・キャメロン・ミッチェル 主演 ジョン・キャメロン・ミッチェル。
東ドイツで生まれたハンセル。アメリカ兵と結婚、性転換手術をして母親の名ヘドウィグと名乗り、アメリカに移住。でもすぐに夫と別れて売春やらベビーシッターなどで食いつなぐトレーラーハウス暮らし。ベビーシッター先で知り合ったトミーと恋に落ちるもトミーはヘドウィグの体に残った1インチの男根の名残り、アングリーインチ(怒りの1インチ)にひるんで去っていく、それどころかヘドウィグの楽曲を盗んで自分がロックスターになる始末。かくしてヘドウィグはトミーのツアーについてまわり、行く先々の場末のレストランでオカマの恨み節を炸裂させる。
面白い! 音楽がいいです。特に自分は「アングリーインチ」のところがよかった。自然と足でリズムをとっている自分がいました。ラストにもう1回、「アングリーインチ」をかまして欲しかった。終わりの方はちょっと湿っぽくなって、スローな曲が続くのは残念、それは掟破りだろう? エンターテイメントならどかんと1発盛り上げてもらわないと。だから終盤の失速はがっかり。まぁ、主人公の物語なんだからしょうがないと言えばしょうがないけど、自分は正直言ってオカマの主張も心情もどうでもいいし、分かろうとも分かりたくもないし、ただ映画をみて気分を高揚させてもらいたかっただけですし。
ただしこの映画、オカマ映画と侮れない部分があります。それは自分にも、おそらく大多数の人にも謎だった「愛」の真理が語られています。「愛」とは何だ? との問いに対する答えが出ています。昔々人間は3種類いて男と男が背中合わせでくっついた者、女と女がくっついた者、男と女がくっついた者。それぞれ4本の足と4本の手を持つ。力を付けすぎた人をおそれた神によりそれぞれが分離され、2本足、2本の手の今の人間となる。人はわかれた片割れと元に戻ろうとした、それが愛の起源だとこの映画では語られています。自分と共通項を持ち、なおかつ自分にはないものを兼ね備えている相手に惹かれてしまうのはこのため?
失われた片割れを取り戻そうとするヘドウィグ、オカマだということを超え、人間の姿を映しだしていて、胸に響きます。裏を返せば別に主人公がオカマでなくても良かったような気もしますが。
それとトミーを求めながらなぜ2番目の夫(パンフを見てびっくり、演じているのが女優! これがこの映画での一番の衝撃)がいたんだろう? 映画ではそこらへんの事情は何も語られていません。
映画館シネマライズでカラオケナイトという企画を実施していて、自分が見た回のあとだったらしく長蛇の列、ちょっと自分も参加してみたいです、いったいどんな事をして、どんな雰囲気なのか?
やっぱ映画にあわせて歌うのかなぁ。和訳の他に、歌詞の英語字幕が出るので、カラオケ代わりに出来ないこともないです。

一緒に見た人のコメント。「面白かった。主人公はオカマだからこそこの映画は光った。トミーはデブ。2番目の夫がヅラをかぶるところが良かった」


アザーズ
アメリカ。監督 アレハンドロ・アメナーバル 主演 ニコール・キッドマン。
1945年イギリス、ジャージー島の広大な邸宅に住むグレース(ニコール・キッドマン)と娘、息子の3人。旦那は出征したまま行方不明。2人の姉弟は光に対するアレルギー体質のため
日光を浴びることが出来ず、屋敷はカーテンを閉じ、昼間からランプをともす状態。
映画はグレースが3人の使用人を雇うところから始まります。実は新聞の遅延のため募集広告が掲載されていないにもかかわらず来た3人。そこから謎と恐怖のドラマが。
非常にネタバレの可能性を秘めているため、映画自体のことを語るのをさけたいと思います。受けた印象だけを。
ニコール・キッドマンの声がいい。語尾の唇と唇がうまくはがれていないような喋り。「ミツバチのささやき」のアナ・トレントのよう。あとニコール・キッドマンはでかい女。使用人の女二人と並ぶと頭一つ出てる。
音楽はいらない。ただ映像のバックに効果音として流れているのか、本当に劇中のピアノが鳴っているのか、結果自分は判断が遅れた。
スピードがあり、求心力のある展開。引きつけられます。途中全身鳥肌がたつ場面が何度か。とても怖かった。終わりは・・・。
映画館混みすぎ。

一緒に見た人のコメント「あんまり怖くなかった。他の人もみんなそうじゃない? ニコール・キッドマンはいい女ぶりを発揮。怖さは甘かったけど、映画としてはとてもいい出来。あとから映画の余韻がくる。テレビCMをしてたおすぎ、あいつは金さえ積まれればなんでも褒めるんだ(自分も同感)」

★後日分かったこと。
ニコール・キッドマンの台詞回しが「ミツバチのささやき」みたいだと思っていたら、なんとこの監督アレハンドロ・アメナーバルは1996年にアナ・トレントを主役に添えて「テシス 次に私が殺される」という低予算映画を作っていました。
この映画を作るときに意識したかどうかは分かりませんが、「ミツバチのささやき」を見ていることだけは確実。
 
スパイダーマン
米。監督 サム・ライミ。主演 トビー・マグワイア。
平凡、というよりむしろイケてない高校生ピーター・パーカー。課外授業で遺伝子組み換えをしたクモを見学に行き、そこでそのクモに刺された時から人生が変わる。筋肉隆々、視力や勘がとぎすまされ、手首から糸が飛び出すようになる。はじめは大喜びだった彼も、叔父の「大いなる力には、大いなる責任がともなう」という言葉の意味を知り、世の中の悪を倒すためにスパイダーマンとなる。
とても面白いです。バカらしくて笑えます。やっぱり娯楽映画はこれくらいやってくれないと。敵役のグリーン・ゴブリンはいるだけで笑えます。メリー・ジェーンと子どもたち、どっちの命を救うかで、もう少しじらしてためた方が良かったのでは。ゴブリンが手を離すのが早すぎ。あっさりしすぎ。

自分はこの映画を見ながら「バッファロー’66」を思い出しました。主人公が思いを寄せる相手のヒロインぽくないところです。美人でもなければ(たいがいの映画はヒロインを過剰なほどの美人を用意する)、性格も良くない。ピーターの好きなメリー・ジェーン(ブスではない)もそう。朝の通学バスでちちくりあっている、ちょっと気に入った男がいると次から次へと乗り換える、と少し男にだらしがないタイプ。それと口では大きいことをいい野心だけは人一倍ありながら、世間では全く相手にされていない小者。大胆にも女優を目指すが、オーディションには落選ばかり。
あまりオススメではないのでは? と見ているこっちは思うのですが、主人公はもう夢中。人がどう思おうが、彼にとってはその女の子が最高なのです。哀しくもあり、ほほえましくもある現象。恋は盲目というやつです。

サム・ライミ監督、「死霊のはらわた」「クィック・アンド・デッド」が面白いですが、一番突き抜けているのは「シンプル・プラン」です。オススメです、涙なしには見られません。

一緒に見た人のコメント。「ヒロインのブスさ加減が絶妙。映画は面白かった。かなりよかった。自分もニューヨークの街を飛び回りたい。人助けはいやだけど」

★後日ヒロイン、キルスティン・ダンスト主演の「チアーズ!」をビデオで見ました。スパイダーマンではぱっとしなかった彼女が輝いてました。映画自体もとても感動的でした。

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