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2001.10
第1回 インターネットは、あまり使っていないっていう薬剤師の方へ

 インターネットの利用についての薬剤師の方々にアンケートをおこなったところ、調査対象の薬剤師の74%がインターネットを利用できる環境にありまた、回答者の64%が積極的に利用すべきだと考えているとも回答があったとの事です。
しかし、同じアンケートの中で64%の薬剤師がWWWをほとんど利用していない、十分利用できていないと回答されており、また「利用したいと思うが、方法について学ぶ時間がない。」「 ホームページがあることを知らなかった。 」等の意見が寄せられていたそうです。
日々爆発的に増えていくネット上にある薬に関する情報を積極的に利用する必要性を感じてはいるが、実際にはあまり利用していないという姿が見えてくると思います。
その理由の一つとしてネット上で目的にかなった資料を手に入れるのに時間がかかる。なかなか見つからない。どうやって見つけたら良いのか知らない。というのが要因として考えられます。
また、色々な情報を誰でも簡単に手に入れる事ができる時代である事を知っておく必要もあると思います。
そこで、色々なwebsiteを紹介して頂く事で、まだインターネットにあまりなじみのない方々のインターネット利用のヒントになればと考え、このコーナーを始めました。
月刊薬事(発行:じほう)等の雑誌でも同様の企画が掲載されているようですので、併せてご一読下さい。
それでは、早速ご紹介しましょう。


医薬品情報提供ホームページ
http://www.pharmasys.gr.jp/

なんと言っても、先ず添付文書です。このサイトは、医療用医薬品の添付文書の内容を各製薬企業において電子化したもので医療用医薬品(体外診断薬を除く)の添付文書情報があります。
このホームページの管理は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(医薬品機構)が行い、厚生労働省及び各製薬企業からの情報が提供されています。
提供情報は、下記のような情報で()内は情報提供者です。
・医療用医薬品の添付文書情報 (製薬企業)
・厚生労働省から出された安全性情報、使用上の注意の改訂指示、医薬品等安全性情報、・医薬品等関連医療事故防止対策、厚生労働省発表資料( 厚生労働省)
・製薬企業から出された安全性情報(製薬企業)
・副作用が疑われる症例報告に関する情報 (厚生労働省)
・最近承認された新薬の情報( 厚生労働省/製薬企業)
・医薬品等の回収に関する情報(製薬等企業)


現在、ほとんどの添付文書を見ることができるようです。
また、実際の添付文書の書式等をほぼ忠実に再現するためにPDFファイルによる情報提供も行われています。
PDFファイルは、画像ファイルなどを含む大きなファイルでも高圧縮するためダウンロード(サーバーから自分のパソコンへファイルを取り込むこと)に時間がかからない、高画質で表示・印刷ができるという特徴を持つ世界標準ともいえるファイルです。
PDFファイルを見るためには Acrobat Readerというソフトウェアが必要となりますが、あなたのパソコンにインストール(セッティング)されていない場合は、無償でインターネットからインストールできます。

これでもう就職したての新人薬剤師が大きな段ボール箱一杯に採用薬の添付文書を片っ端から集めて家に持って帰らなくてすみそうですね。


お薬110番
http://www.jah.ne.jp/%7Ekako/index.html

このサイトの管理者の方の基本コンセプトが、
・具体的で実践的、また科学的
・すべての人にオープン(医薬情報の公開と共有化)
・医薬品の適正使用
・タイムリー
とあり、関係者をとうことなくオープンに医療用医薬品の情報提供がおこなわれています。主に薬系のリンクがメインのサイトです。
情報の更新が早く、内容もリンク集だけではなく盛りだくさんですK_Kobayashi(薬剤師)
氏の個人サイトですが、その更新にかかる労力には驚くばかりです。


メインのコンテンツの「 Drug Yaboo! 」は、700カ所以上の医薬系のサイトへのリンクが登録され、タイトル、カテゴリー、キーワードから検索もできて更新も早いため非常に便利だと思います。リストには、その簡単な内容が説明されているためタイトルとその内容の説明を読んで興味のあるサイトにジャンプする事もでき、わかりやすいです。


またMEDLINEへのリンクは、利用方詳細と検索パターンの説明があります。
MEDLINEはMedical Literature Analysis and Retrieval System On-Lineの略名で、米国立医学図書館 NLM (National Library of Medicine)が提供する医薬関連文献の索引・抄録2次資料データベースです。1966年以降、毎年40万件の文献情報が蓄積されています。ここではMEDLINEに無登録、無料でアクセス可能な三つのサイト、PubMed、PhyNet、MEDLINE+がご紹介されています。
他に、副作用の状態についての説明が音順、部位別にリストになっている「 副作用リスト 」、薬の名前や記号から、効能、注意点、副作用などの概略を調べることができる「 ハイパー薬事典 」等のコンテンツもあります。最近ではiモード版およびJ-SKY版も公開されており携帯電話からもこのサイトにアクセスできます。



北里大学 内科学電子教科書
http://bme.ahs.kitasato-u.ac.jp/qrs/imd/

Webで公開されている医学情報の一つです。北里大学医療衛生学部医療情報学研究室編集の医学電子電子教科書の一部で、「内科診断検査アクセス: 日本医事新報社(1989.5.20.)」のデータを基にしています。


これが、内科診断アクセスのトップページで 内科診断を全身的または胸部、腹部、等の症候からアクセスしたり、疾患名がわかっている場合は、疾患名からアクセスできます。
内科領域の疾患を調べるのに便利なサイトです。


例えば、「 急性膵炎 」を見てみますと、
・概論
・臨床症状 ( 一般検査所見、特殊検査所見 )
・診断
・管理上必要な検査
という項目で系統的に説明されており、疾患の概要をつかむのに一助となると思います。



多くのサイトが疾患についての情報を発信する中、このサイトはテキスト主体で構成されビジュアル性は低いですが、まさに教科書を読んでいるという感じがします。


鬼の元薬剤部長の辛口薬事放談「おくすり千一夜」
http://www2.incl.ne.jp/~horikosi/index.html



あなたの病院の薬剤部長の事かと一瞬思ってしまいそうな怖そうなタイトルのサイトですが、内容はやさしくわかりやすく書かれています。
以下、おくすり千一夜 第一話にサイトの制作者が書かれた説明を少し抜粋してみます。
「世の中には色々な「評論家」という職業があります。政治評論家、経済評論家、教育評論家、軍事評論家等々。医の世界にも医事評論家というのがあり、水野 肇氏のような方がおられますが、不思議なことに「薬事評論家」という職業も、これを標榜する人も見たことがありません。強いて挙げるならば元東大講師の高橋晄正氏くらいなものでしょう。では何故、薬事評論家が存在しえないのでしょう。(中略)
この放談集は、日常生活のなかで遭遇する医学・薬学的な事柄について信頼できる学会誌に報告された内容を分析し、分かり易い言葉で解説・論評を加えたものです。私どもの身の回りには、常識の嘘や極めて非常識な事柄が沢山あります。この放談が少しでも読者のお役に立てば望外の喜びです。」

「第二話 蝦蟇の油は効いたのか」から数えて現在は、「第百四十話 高脂血症のリスクとクスリのリスク」まで書かれておられます。
最近では、「第 百二十八 話 ありがたや!口蹄疫は移らない? 」、「第 百三十四 話 まだ低い 高脂血症境界値!」、「第百三十五話 フェナセチンよ。さようなら!」などタイムリーな話題に思わず時間を忘れて読んでしまいます。


今回は、以上4つのサイトをご紹介しましたが、医薬情報に限っても星の数ほどのサイトがあり、あなたしか知らないおすすめのサイトもたくさんあると思います。
こんな便利なサイトを知ってるよ。とか、ここはおもしろい!というサイトがありましたら、どうかご一報下さい。

それにしても、読み切れないぐらいの医療情報が、いつでも、誰でも、ほとんど無料で手に入れることができる時代は、同時に薬剤師の服薬指導の内容も問われる時代ではないでしょうか。

それでは、また。
See you online soon!