うさぎの一生と暮らす


いろんな事情

<病気事情>

ミルのカルテ7 そして宇宙へ 〜FINAL Stage〜 帰還ーそれぞれの星へー 


果てしなく墜ちていく闇の中では
しっかり手を繋ぎあって抱き合っていないと、怖くて破滅しそうだったね
二人で一緒に乗り越えたね



穏やかに旅立ちの準備も別れの時も過ぎていった
そしてそれぞれの星へ・・・
ミルは月へ ラン子は地球へ
手を離して無事に帰還

---2010/06/02/13:30---



どうして今そばにいないんだろう
どうして還ってしまったんだろう
どんなに苦しい闇の中でも
あなたと二人がしあわせだった・・・・・


でもでも
あなたはやっと苦しみから解放されて
静かにゆっくりそしてまたキラキラと輝いているね

私はとてもうれしい
そうであるならとてもうれしい


だけど



何も変わらないのに
呼吸を止めただけなのに
押し寄せてきた悲しみは
今度は一人で宇宙へ放り出されそうだった・・・・・・・・・・

壮大なる悲しみを残されたけれど
これまであなたが背負った苦しみに比べたら
悲しみってたいしたことないとわかる

そこに留まってメソメソする事なんて
進む一歩のために流した涙を思い出せばどってことない
あなたが生き抜いてきた道を知っているから
どってことない・・・・・




だから、今やすらかなことがこんなにこんなに嬉しいよ
あなたといううさぎに会えてその一生を託されて
あなたの命を見届けたこと
私の大きな誇りです

ラン子のミルになってくれてありがとう
















旅立ちまでの一週間


明らかに状態が悪化した日から、ミルは自分では全く動かなくなった。動けなくなった。
私が動く音にかろうじて顔を動かす。もう、あまり目も見えていないのでは・・・と思った。。。
口元にごはんを運べば食べてくれる。けれど、一ミリでも離れるともう食べられない。
うさぎは最期まで頑張る動物だと聞いている。死ぬまで食べているとも聞いた。
多くの臨終は知らないけれど、その時まで動いていたり食べていたりするうさぎさんもいたので、
いつがその時なのか心配で片時も離れられなくなった。そばにいればいるほど、離れられなくなった。。。。。。。。

糞が全く出なくなる。便秘後特有の軟便も出ない。それでも野菜を差し出すと、はむはむと啄む。。。
ミルが食べてくれるのを見ると、このままではお腹が苦しいだろうとマッサージを続ける。すると・・・
軟便が出た。コロコロ糞も出た。盲腸糞はもう出ては来なかったけれど、
コロコロの小さな小さなかわいい糞はそれからずっと少しづつ出続けた。

スポイトでも水を飲まなくなった。でも、掌に載せるとペロペロなめた。
その舌圧も日に日に弱ってきたけれど、ペロペロとなめてくれた。。。。。。。。。。
顔を下にしている左側の眼から涙が出始めた。
涎も出るようになった。
夜中に目を覚ます度、顔を埋めて泣いた。お腹をマッサージして何度も涎を拭いて泣いた。


ミルの体が重くなり冷えてくるのがわかった。もうミルは逝ってるのではないのか・・・・・・?
それでもミルは生きていた。私のために生きていた。可哀想な私をおいて逝けないんだ・・・・・・・・・・・・
ミルはずっとすやすや眠っていたけれど、その呼吸は明らかに苦しくなり、もうその終わりを告げていた。
このまま安らかに眠るといいなと思っていたけれど、突然ミルが目を開けた。
痙攣も始まった。その奥歯が折れるほどのものすごい歯ぎしりに、思わず指を口に入れた。
ミルが思い切り噛んだ私の指は見る見る流血した。真っ赤な血が滴り落ちてものすごく痛かった。
けど・・・・・

私の痛みはこんなモンじゃないと言われているようだった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
止まらない血を流れるだけ流した・・・・・・・・・・・・・・・・・

ミル・・・・・・・・・・・・・


痙攣の大発作小発作を繰り返し、涎が出る量がものすごい。
私はずっとずっとミルをさすって側にいた。脚の処置も欠かさずやって、ミルの代わりに毛繕いもした。
お腹にはもう何もないだろうと思うくらい綺麗にちっちゃい糞が出尽くした。オシッコも最期の滴だと思った。
この涎の量で脱水状態だろうと思った。ついに瀕死の口呼吸になった。。。

それでもミルは生きている。私のために生きてくれている。私が側にいたら逝けないんだ。。。。。。
だって、ラン子が泣くんだモン・・・・・


離れる決心をした。
でも用事が浮かばない。今何も浮かばない。。。。。。。
それでも外に出た。
すぐ帰りたくなったけど、今戻ったら、またミルがビックリして息しちゃう・・・・・・・
しばらくグルグル近くを歩いた。


玄関のドアを開けるのは怖かった。でもきっと・・・いる?いない?・・・・・・・・・・・

ただいまミル・・
それはいつものあいさつ


ミルは・・・・

私にお耳としっぽと手を振って

そして逝った

私のために生きて、私のために逝った・・・・・・・・・・・・・

全ての時を私のために計って逝った・・・・・・・・・・・・

ミルが私にくれた思いやりの、その深い意志が伝わってきて最期の宇宙の中で震えた。。。。。。。。。。


翌朝、私はミルに起こされた。
ミルが私の顔の上に手をかけた。
そのふわふわな毛の感触とチョト痛い爪の感触で飛び起きた。ミル!生きてるんだね!と抱きしめた。
少しまだ傷から血が流れた。まだ生きているのにごめんごめん・・・
と、ミルを抱いたまま目が覚めた・・・・・・・・
手の中には何もなかった・・・・・・・・・


ミルの背骨が折れているとわかった日から、怖くて抱くことが出来なくなった。
やっとやっとミルを抱けたね。
かわいい・・・・・
すっかり私に身体を預けて、とってもかわいい寝顔で、何よりも願っていた穏やかな時間の中にいた。
いつか連れて行きたいと思っていた河辺でミルを見送った。
ミルが喜びそうな芝を踏み沈む夕日を見ながら心地よい風に吹かれた・・・・・
逝っちゃった・・・・・
本当に消えてしまった・・・・・・

空を見つめて、今日までのミルを思い出そうとしても、なんだかぼやけてうまく見えない。
ただただ逝ってしまった喪失感と悲しみと・・・
そして・・・・
ほんっとにしあわせだったな〜〜という暖かい気持ちに包まれた。 そんな気持ちが嬉しかった。
ミルの一生を託されて、その一生を見届けることが出来て、幸福感に満たされた。
私に動物の命を教えてくれた・・・・・・・

ありがとう・・・・・・・

あの日、あなたに出会えてよかった・・・・・・・


ラン子のミルになってくれて、ホントにホントにありがとう・・・・・・・・・・・・・・
つらい一生でごめんねごめんね・・・・・・・
満開に咲き誇ってさらに咲き続けて散ったミルトニア・・・・・・・
ラン子の自慢で誇りのうさぎです。
本当にしあわせだった。ミルも・・・・・・・・しあわせだった

と言って欲しい・・・・・・・・・・・・