第二話
狸の道と兎の道と猪の道は、 それぞれ全く異なった場所、そして異なった環境にあります。 これも食生活の違いからだと思います。 道ができる時は、時節として餌のなくなる秋の後半から冬にかけて、 水飲み場と餌場までの道だとおもわれます。 狸の道は、鬱蒼とした木陰のしたを延々と続き、整理されています。 木の葉一枚無い黒土剥き出しの道が25cm程の幅で何処までも続きます。 この道を上れば住処の近く、下れば水場や餌場になる沢に着きます。 沢の近くに来ると、道は自然に消えています。 巣穴に続く道も、やはり同じく自然に消えています。 その近郊に巣穴があるはずだと思い探し回りましたが、 ついに発見できませんでした。 人から聞いた話によりますと、巣穴の奥深くに 狸一頭が出入りできるくらいの大きさで横穴を掘り、 その先にもう一つ用心の為に出入り口を造るそうです。 頻繁に出入りしていてもその痕跡は残しません。 結局私は狸の巣穴を見つける事ができませんでした。 次回は兎の道です。 |