夢惑う世界・昆虫たち 昆虫の散文<木漏れ日> 昆虫燦々
夢惑う世界 タテハモドキ属 Junonia
1991年11月21日 森みつぐ

 タテハモドキは、熱帯・亜熱帯の高温乾燥地域、特にアフリカを中心にインド・オーストラリア、南北アメリカに広く分布している。東南アジアには、約10種、日本には、南九州以南に2種類生息する。タテハチョウ科のチョウなのに、タテハモドキとは、少し違和感がある。多分、タテハチョウ科としては珍しく眼状紋が良く発達しているからだろう。タテハモドキの仲間の多くは、乾季雨季型の2型を示し、乾季型の翅の裏面は、見事な枯れ葉模様をする。日本では、春・夏が雨季型、秋・冬が乾季型となる。枯れ葉の上で翅を閉じて止まっていると、翔び立つまで気付かないことが多い。

 香港もすっかり秋である。一面カヤに覆われた丘を歩く。遠く海では、香港島へ向かう船が小さく見える。歩き出して1時間。“よし!あの丘を越えれば森だ!!”・・・“あれ!”目の前からチョウが翔び立って、前方の小径に止まった。ルリボシタテハモドキである。黄色の素地に黒い縁取り、後翅表面には青色紋を持った美しいチョウで、中国からアフリカまで広く分布しているが、東南アジア島嶼には生息していない。今までにタイ北部で掴まえている。久し振りのお出迎えである。この仲間は、なかなか敏感で“やっと網の届くところまで来た”と思うと、また翔び立って更に前方に止まる。そんなことを2度3度繰り返したところで、そのチョウは谷側へと翔び去ってしまった。今回の旅では、これっきり。また、次の機会まで“バイ!バイ!”

 乾燥したところを好むタテハモドキの仲間にも、変わり者がいる。森林内に棲みついた数種のタテハモドキは、黒っぽく森林内では、殆ど目立たない色彩となる。
ジンバブエ/ルリボシタテハモドキ
  ルリボシタテハモドキ  
陽は燦々と降り注ぎ
僅かな木陰燻り続ける
っぽい小径を案内するかのように
一匹の蝶がすうっと前をゆく

オオクワガタ 昆虫図鑑2.3.2 チョウの館タテハモドキ属を、ご覧下さい。

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