夢惑う世界・昆虫たち 昆虫の散文<木漏れ日> 昆虫燦々 |
ムラサキ属 Hypolimnas | |||||||||||||||||||||
1991年12月15日 森みつぐ ムラサキ属は、主に東南アジア、アフリカに分布し、22種を数える。東洋区には、13種生息し、そのうち日本には1種、メスアカムラサキが沖縄・八重山諸島に分布する。このムラサキ属は、強い移動性を持つものがいて、八重山諸島には、南方から毎年のようにリュウキュウムラサキやヤエヤマムラサキが飛来するが、冬を乗り越え土着することはまだないみたいである。リュウキュウムラサキは、特に強い移動性を持っている割には、各地域毎に多くの異なった色彩形態を持っていて、色彩を見れば、おおよその発生地の見当が付く。太陽の下で、紫色に燦めく色彩は、なんと言っても熱帯の雰囲気を持ったチョウである。
沖縄へ2度目、石垣には初めての旅である。夏、真っ盛りの8月、躰もまだ亜熱帯の気候に慣れていない。3日目、好採集地も見つからず今日は、石垣市街地からバスで約1時間10分かけて浜辺が近い明石の部落へやってきた。部落の共同店の前に、バスは止まる。そこから20〜30m位の所にある防砂林を抜けると美しい砂浜が広がる。当時(10年ほど前)は、水泳設備がなかったせいか美しい砂浜には、シーズン中だというのに人っ子ひとりいなかったが、今はどうなっているのだろうか。防砂林を通るとき、一瞬頭上を掠めてゆくチョウがいた。“何だろう?”また来た。強い日差しを受けてきらっと翅が紫色に輝いた。これが、熱帯のチョウだ。初めて目にしたメスアカムラサキに、ただ唖然とするばかり。あの美しさは、今でも心に焼き付いている。
ムラサキは、特にニューギニア・オーストラリア地方に多く生息している。そんな土地をのんびりと歩き、あのときの胸の高鳴りをもう一度感じてみたいものである。
燦々と降り注ぐ光の中で |
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昆虫図鑑2.3.2 チョウの館ムラサキ属を、ご覧下さい。
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