台湾中部の町・埔里よりバスで３０分、南山渓という部落へ着く。部落を通り抜け川沿いに１時間ほど歩くと林の中に忽然と拓けた場所に行き当たる。この辺りには、マダラシロチョウ（マネシシロチョウ属）が意外と多くいる。

　チョウを採りながら歩き廻っていると、近くをマダラシロチョウがゆっくり翔んでいる。最初、無視していたが何となく翔び方がぎこちない。“確かめてみよう！”と思い網を振ったが、あまり真剣でなかったせいか採り逃がしてしまった。ここでマダラシロチョウなら一目散に翔び去ってしまうが、このチョウは何事もなかったようにひらひらと舞っているだけである。“あ！違う！”今度は慎重に網にする。やはり、カザリシロチョウ属のゴマダラシロチョウであった。

　一般的に擬態する側は、擬態される側より個体数が少ないと擬態する効果が薄れる。ところがこの場合、ゴマダラシロチョウ（まだ、１匹しか見ていない）よりも、遙かにマダラシロチョウの方が多く、擬態関係というのも少し疑わしい限りである。

　昆虫図鑑２．３．２　チョウの館マネシシロチョウ属を、ご覧下さい。