夢惑う世界・昆虫たち 昆虫の散文<木漏れ日> 昆虫燦々
夢惑う世界 トガリシロチョウ属 Appias
1991年2月19日 森みつぐ

 トガリシロチョウは、熱帯地方を中心に約40種近く分布している。日本には、ナミエシロチョウが奄美諸島以南に、また最近、勢力を広げてきているタイワンシロチョウが与那国島(特に、ここ1〜2年は石垣島にも進出してきている)にと、計2種が棲み着いている。子どもの頃、昆虫図鑑に真っ赤なチョウが載っているのを見て、“こんな赤いチョウがいるなんて!”と、信じられなかったのを覚えている。このベニシロチョウもトガリシロチョウ属の一員である。

 マレーシアへの2度目の旅行である。最初は8月の旅行であったが、そのときは一度も見かけることができなかった。
 ・・・大きく曲がった山中の車道から200mほど、ジャングルの中に入ってゆくと爽やかな音をたてて渓流が流れている。その先、100m位のところに現地の人たちの部落がある。この渓流には余りチョウは多くないと思うのだが、時折得体の知れないチョウが通り過ぎる。今日も岩に腰掛けてチョウを待っていると、背後から真っ赤なチョウがすーっと通り過ぎていった。なかなかのスピードである。“もしかして!?”今度は、岩の上に陣取り、翔んでくるのを待つ。川上から一匹、二匹、タイミングが合わない。“また来た。今度こそ!”岩場のところでスピードを落としたその瞬間・・・。一際目立つオレンジ色した艶やかなチョウであった。

 トガリシロチョウの雄は活発に翔び廻り、なかなかのスピードを誇る。でも、雌の方は、殆ど姿を見せてくれない。

インド、ベッロール/アルビナトガリシロチョウ
  アルビナトガリシロチョウ  
陽が徐々に昇ってゆき
木陰が地面で燻る
水音を立てて流れる渓流の上を
真っ赤に燃えさかる炎を鎮めるかのように
ベニシロチョウが川面すれすれに翔んでゆく

オオムラサキ 昆虫図鑑2.3.2 チョウの館トガリシロチョウ属を、ご覧下さい。

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