夢惑う世界・昆虫たち 昆虫の散文<木漏れ日> 昆虫燦々
夢惑う世界 スソビキアゲハ属 Lamproptera
1991年1月28日 森みつぐ

 スソビキアゲハは、東南アジアを中心に2種類分布している。長く伸びた尾を付けたを、小刻みに震わせながら翔び、アゲハチョウ科の中でも、ユニークな存在である。驚いても、空高く舞い上がることもなく、障害物すれすれに翔んでゆく。各地に多いという訳でもないが、それなりに生息しており、水辺によく現れる。
 タイ北部のチェンダオ山麓で出会ったのが最初である。

 村を通り過ぎて木々も疎ら叢林へと差しかかる。叢林の中には、緩やかに小川が蛇行していた。それと交叉して林への径は、続いている。最初の小川との交叉である木の橋を渡って100m位歩くと、次の交叉部へと出る。そこは、浅く静かな流れを呈している。陽は、小川と赤茶けた土との接する面を強く灼き付け、土の香りを微かに撒き散らしている。そこに小さなチョウが数匹、翅を間断なく震わせながら、吸水に夢中である。アオスソビキアゲハとの最初の出逢いである。

 道の上を翔んでいることがあるが、殆どすれすれに翔んでいて擦れ違ってから気付くことが多い。

タイ/アオスソビキアゲハ
  アオスソビキアゲハ  
小さな水飛沫が上がる
乾き始めた土を、また濡らし
淀んだ空気が小さく揺れる
今まで、静かに吸水していたチョウが
再び、その長い尾を振り始める

ギフチョウ 昆虫図鑑2.3.2 チョウの館スソビキアゲハ属<を、ご覧下さい。

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