夢惑う世界・昆虫たち 昆虫の散文<木漏れ日> 昆虫燦々
夢惑う世界 タイマイ属その1 Graphium
1991年2月23日 森みつぐ

 タイマイは、東南アジアに50数種、日本には2種生息している。熱帯・亜熱帯地方を中心に分布するが、日本に生息するアオスジアゲハは、秋田・岩手まで勢力を広げている。もう1種のミカドアゲハを初めて採ったのは、西表島であったが手にするまではミカドアゲハだとは気付かなかった。図鑑で見たアオスジアゲハの斑紋は青、ミカドアゲハは黄色であったが、ここ西表島では、両方とも青であったからである。この色彩相違は、幼虫の時の太陽光線の強弱によるものらしい。八重山でも、たまに黄色っぽいのを見かける。
 この仲間には、淡い黄色や青を基調とした尾の長いチョウがいる。とても優雅なチョウたちである。

 台湾への2度目の旅である。バスを降りてから約40分畑の中の農道を行く。そこから森林の中へと。20分も歩くと拓けた場所へと辿り着く。家が建っていた。昨年来たときにはなかったが、忽然と。朝日は昇り辺り一面を照らし付けている。家の前に差しかかる。チョウが群れていた。その中に初めてのチョウ・アサクラアゲハも2匹いた。翔んでいるときは、アオスジアゲハやミカドアゲハと比べて、さほどスピードはなく、掴まえるには難しくない。

 海外でも、アオスジアゲハとミカドアゲハ以外は、余り見ることも出来なく、マレーシアではまだ一匹も採っていない。インドネシア・スラウェシ島では、アオスジアゲハ2匹と、この島の特産種ミロンタイマイ1匹だけである。この仲間は、豊かなスピードで真っ直ぐ翔ぶので、なかなか距離感が得られず採るのが難しい。

日本、沖縄県石垣島/サルペドンタイマイ他
  サルペドンタイマイ他  
豊かに渓流は流れてゆく
強烈な日射しは容赦なく岩を灼き付ける
川上から光の万華鏡潜り抜けて
碧い空で染め上げた翅を震わせながら
タイマイがまた一匹通り過ぎてゆく

フタオチョウ 昆虫図鑑2.3.2 チョウの館タイマイ属その1を、ご覧下さい。

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