散文・昆虫たち１０７

散文・昆虫たち１０７

２１３　ネロトガリシロチョウ（ベニシロチョウ）

（シロチョウ科トガリシロチョウ属）　Appias nero

　マレー半島キャメロン・ハイランドの中間地点に、車が１台通れるくらいの林道が３～４ｋｍに亘って続いている。その手前が電力発電所となっていて、林道の入り口付近まで社宅が建ち並んでいる。

　熱帯には、様々な色のチョウたちがいる。図鑑で見た赤いチョウなんて、私の見た限りの知識としては、到底信じられるものではなかった。しかし、まさに今、そのチョウが森林に入り口付近の歩道を流れる水に、赤い翅を羽ばたかせて吸水しているのである。







	（オス表）		（オス裏）開帳　５８ｍｍ

	Fig.213s　ネロトガリシロチョウ（マレーシア、キャメロンハイランド産）

２１４　カスタノプテルスマルバネクワガタ

（クワガタムシ科マルバネクワガタ属）　Neolucanus castanopterus

　首都カトマンドゥを取り囲む山の一つに、プルチョッキ山がある。７月のネパールの山は、毎日のように雨が降っている。草は、いつも水滴を付け、近付いてゆくと草の間から鎌首を持ち上げるように、にょろっとした気持ち悪いヒルが乗り移ろうとばかりに、身を乗り出してくる。

　そんな草によじ登って私が通り過ぎるのをじっと待っていた黒い奴がいた。”甘いね！”私も変温動物なら、ヒルなんて気にしないですむかも知れないのに。近くには、涼しそうな顔をしたマルバネクワガタがいた。







	（オス）体長　３３ｍｍ

	Fig.214s　カスタノプテルスマルバネクワガタ（ネパール、ゴダワリ産）