夢惑う世界・昆虫たち 昆虫の散文<木漏れ日> 散文・昆虫たち
夢惑う世界散文・昆虫たち5
9 カスクミレンシスコヒオドシ(ヒマラヤコヒオドシ)
(タテハチョウ科コヒオドシ属) Aglasis cashmirensis

 首都カトマンドゥ近くのプルチョッキ山は、山頂に鉄塔が建っているので林道が続いている。
 7月、雨の合間に固く踏みつけられた路上に、ちょっと薄色のコヒオドシが翅を広げて休んでいる。日本やアメリカのコヒオドシに比べて、何らか華奢に見えるのだが、ところがどっこい静かに近づいてゆくと網が届く前に、またちょっと遠くへ去ってゆく。非常に敏感で、同じことを繰り返しているうちに、私が根負けしてしまう。

  カスクミレンシスコヒオドシ♂表   カスクミレンシスコヒオドシ♂裏  
(オス表) (オス裏)開帳 51mm
Fig.9s カスクミレンシスコヒオドシ(ネパール、プルチョッキ山産)
10 ダラクサトガリイチモンジ(トガリイチモンジ)
(タテハチョウ科トガリイチモンジ属) Sumalia daraxa

 スマトラ島ブラスタギ近郊のシバヤク山は、11月は少し雨が多く、朝晴れていても午後は曇りがちである。
 午前中、山を上ってゆくと前方に青い帯のチョウが地上に降りてくる。アオスジアゲハみたいだが、ちょっと小さい。上り坂でチョウと追いけっこが始まった。抜き足・差し足・忍び足。なかなかまえられないが、辛抱強く粘った甲斐があって手中にした。

  ダラクサトガリイチモンジ♂表   ダラクサトガリイチモンジ♂裏  
(オス表) (オス裏)開帳 45mm
Fig.10s ダラクサトガリイチモンジ(インドネシア、スマトラ島産)

Copyright (C) 2001 森みつぐ    /// 更新:2001年5月14日 ///