散文・昆虫たち５０

散文・昆虫たち５０

９９　キロンツルギタテハ

（タテハチョウ科ツルギタテハ属）　Marpesia chiron

　昨日擦れ違った人に滝があると聴いて、早速今日は、街から１時間半歩いてやっと目的地に辿り着いた。

　谷間を流れているはずの川は、今は、ほんの少しだけの水しか湛えていない。そんな川原を歩いていると、忙しそうに翔び廻っているタテハがいた。やけに神経質で近付くことも出来ないのでタテハが近付いてきたとき、適当に網を振ると、“ストライク！！”

１００　アトラアカゼミ（クロゼミ）

（セミ科アカゼミ属）　Cicadatra atra

　ヨーロッパでは、全くセミは期待していなかったのだが、アテネの中心シンタグマ広場にバスから降りたら、近くの公園からセミの聲が聞こえてきた。“オー！”と思ったが、ここで採集する訳にはいかない。今回の目的地でも啼いていることを祈りながら長距離バスに乗った。

　次の日、早速歩き始めたのだが、至る所からセミの聲がする。２種類啼いているのが分かったのだが、運良く下草にしがみついていたチッチゼミを掴まえた。しかし最後まで、このチッチゼミの啼き声は聞こえてこなかった。