いろいろ歩き廻っても、これと言った森林がある訳でもない。ただ白っぽいウラナミジャノメが珍しくて、半ば諦めながら採集していた。ちょっと早く帰ろうと思いながら歩いていると道の下の方でせせらぎの音がする。“ひょっとすると何かいるかも知れない”と思い、４ｍ位下の小川に下りてみた。元は、ここも鬱蒼とした森林だったのかも知れない。小川には、紫色の翅の美しいミナミカワトンボがきらきらと舞っていた。

　林内を歩いていると紫色のチョウが翔び立ち、また別の葉に止まる。最初、この色と行動を見てリュウキュウムラサキかと思っていたのだが、ミダムスルリマダラであった。他の地域では、紫色を帯びることもない目立たない色のマダラチョウなのだが。