夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その 発行日 1999年3月15日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 3月の麗らかな日になると、愛鷹山の南斜面の林道には、寒い冬の間成虫で越したチョウたちが、待ち侘びたように日向ぼっこに出てくる。チョウの体には、脂肪をいっぱい蓄えているので、標本にすると翅にまで脂が滲みてくる。人間の場合は、冬眠をしないのだから、そんなに脂肪を溜め込まなくてもいいと思うのだが。
もうすぐ、桜も咲き始める。そして、今年羽化した初蝶モンシロチョウも。春を迎えに行かなくては!
  言いたい放題
 「蜃気楼」の創刊号です。本誌は、月1回刊行予定の非定期刊行物で、勝手気ままに私見を書き記した個人雑誌です。「蜃気楼」は、私が忙しいシーズン中にも書けるように、5つの小文に区切りました。今後とも、宜しくお願い致します。

 人間は、個人と個人の関係の中で生活をする社会性動物だと云われています。個人と個人(組織)とは、信頼関係で結ばれています。信頼関係があるからこそ、対人関係に煩わされず安心して安定した生活を送ることができます。しかし、最低限の決まり事(法)さえも守らなくなり、その信頼関係が崩れたとき、その社会(組織)も、利害関係だけで結ばれた温もりのない社会(組織)となってしまいます。日本の多くの都市社会や大企業のように。
 経済効率だけを優先してきた結果、倫理や道徳が隅に押しやられてしまい、個人の自由な時間も、不当に搾取されてしまった。信頼関係を失った社会(組織)を想像してみて欲しい。
  つくしんぼの詩
 ジョギングをしていて感じることだが、道路に歩道があっても、非常に走りづらい。車道のように平坦であることを想定して走ると、ガックンガックンという衝撃で、足に大きな負担がかかる。家の門の前だけが車の出入りのために低くなっている。また、斜めになった歩道もある。視覚障害者には、到底歩けないだろう。また、お年寄りにも、苦痛を強いることになるだろう。人優先の道とは、何だろう?
  虫尽し
 昨年暮れのマダガスカルで昆虫採集をしていたとき、蜘蛛の巣に、ニイニイゼミが引っ掛かっていたので、それを奪い取った。”ゴメンね!”その夜、ホテルの部屋で、タッパウェアに蓋もせず置いていた。翌朝、机の下で脱皮中のゴキブリがいたので、窓から放り出した。後日、虫を整理しているとセミは、喰われていた。これを、因果応報と云う。“口惜しいね!”
  情報の小窓
 『日本型システムでは、情報の共有に基づいて、強調が行われていく。しかし、これが活力を持ちイノベーションを引き起こすためには、「個」の「個」としての選択が前提である。このような形の秩序形成は、ゆらぎ(個の選択の自由)の中にあり、この個が自由に創造的に、活動することが前提となる。』
 NHKブックス「日本社会とは何か」濱口惠俊編著

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