夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その100 発行日 2009年5月24日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 まだ頑固に葉を広げていない木々もあるが、多くの木々が緑眩しい柔らかな葉を茂らせている。山では、既に、春を告げるエゾハルゼミの合唱が響き渡っていた。ウグイスも気持ち良さそうに鳴いているが、春の日射しを浴びて歩いていると、突然、すべての音から開放されて、緑の中を、ゆったりと歩いている自分がいるのに気付いたりする。
 私のベランダのスミレは、まだまだ花を咲かせそうにもないが、林道沿いのスミレは、既に、白や紫色の花を咲かせている。大きなトラマルハナバチがスミレの花にしがみ付くや否や、地面にだらんと垂れ下がりながらも、次から次へとスミレの花に飛び移っていた。
  言いたい放題
 「エコポイント」省エネ効果の高い液晶テレビを買うとエコポイントが付くと言う。省エネ効果の高い液晶テレビとは、どんなテレビなのか、私には、未だに分からない。電気代が高いからと言って、ブラウン管テレビを液晶テレビに買い換えると如何にも電気代が安くなるように思えるのだが、そんなはずはない。
 "もし同じ大きさのブラウン管から液晶テレビに換えると?"と思ってカタログを見ても、たいした差は出てこない。それどころか、ブラウン管から液晶テレビに買い換えると、一回りか二回り大きなテレビになるのではないだろうか。消費電力が大きくなるのは、必然である。1年間の電気代が2〜3千円と唱っている場合があるので、安く感じるかも知れないが、条件をしっかり見れば納得するものであり、多分、現在のテレビの電気代に比べて安くなるわけではないことが分かるはずである。
 私は、今、20型のブラウン管テレビを見ているが消費電力は、節約モードで見ているので50W程度である。これより低い液晶テレビとなると、20型未満のテレビとなってしまう。この液晶テレビ、何が省エネなのか私には、分からないままである。従来の液晶テレビより省エネだなんて言わないで頂きたい。まだブラウン管テレビなのだから。
  つくしんぼの詩
 新型インフルエンザが国内で感染し始めている。空港などでの水際作戦は、最初から完全でないことは分かっていた。発症していれば、見つかる可能性が高いが、潜伏期の感染者は、難なく通過してしまう。既に、関西方面だけでなく広い地域に広がっているかも知れない。
 ただ、今回の新型インフルエンザは、従来のインフルエンザ程度の毒性みたいなので、私としては、余り気にしていない。恐いのは、インフルエンザの毒性よりも、周囲の人たちの振る舞いだろう。もし私が、まだ会社勤めをしていてゴールデンウィークで海外から帰って来たら、多分、遠くから白い目で見られていたことだろう。
  虫尽し
 ベランダのプランタで飼っていたミドリヒョウモンの幼虫2匹が、とうとう1匹になってしまった。タチツボスミレが成長するよりミドリヒョウモンの成長のほうが早くて、すべて食べ尽してしまい、2匹とも、放浪の旅に出てしまった。
 ただ、1匹が運よく戻ってきたので、パンジーを買い与えて育てている。粗い目の網を被せていたので、また逃げ出していないかと、毎日、確認していたが、先日、やっと終令になった。これで、もう逃げ出しはしないだろう。蛹、そして成虫となるのが楽しみだ!
  情報の小窓
『しかし、資本主義の行き先には、見えざる手は働きませんでした。現実には、手段を選ばぬ不公平な競争と、苛烈は富の偏りを生んでいくことになります。そして、経済的な発展が頭打ちになった国々は、さらなる展開を求めて国外に出て行きました。これが二十世紀の世界戦争の元凶となった「帝国主義」です。そこには資本主義の「英雄時代」を支えていたような市民的な経済観念は消え失せていました。そこにあるのは、異様なほどに傲慢で、魂を失ったような思考でした。』
 集英社新書「悩む力」姜尚中著

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