夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その103 発行日 2009年8月23日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 8月に入って、やっと札幌にも夏が訪れた。青空、暑さが10日ほど続いたので、やっとハネナガキリギリスが鳴き始め、ツクツクホウシ、アブラゼミ、コエゾゼミ、エゾゼミなどのセミも夏らしい聲を張り上げて啼いていた。
 ところが先週から雲行きが、また怪しくなってきて、今週は、雨の日が多くなってきて、夏の終わりを告げる秋雨前線が天気図にも現われ始めている。か細く鳴くカンタンの聲が、瑞々しさの失い始めた草の間から聞こえてくる。小さく黄色い花をいっぱい付けているオオアワダチソウが、日に日に映えて来た、今日この頃である。
  言いたい放題
 衆議院議員選挙が公示されて、連日のように候補者の選挙カーが走り回っている。今回の選挙は、政権選択選挙と言われているが、政権交代は、飽くまでも手段であり、目的でないことは明らかなことであろう。国民の為の豊かな国家を作り上げるためには、同じ党が長い年月に亘って政権を担うことは、腐敗政治、馴れ合い政治に繋がる恐れがある。それを打開するためには、二大政党制が有効となるだろう。
 各党が政権の公約・マニフェストを発表している。どの党のマニフェストを読んでも、100%賛成と言うことはない。どうしても譲ることができない政策以外の政策には、ある程度目を瞑るほかないのである。"約束した公約は、すべて実現する!"と言われても、公約毎に国民の声に耳を傾けて政策の実行に移して欲しいものである。民主党の公約「高速料金無料化」は、私には、全く受け容れる事ができない政策である。
 前回の低次元の衆院選を、やっと乗り越えるる時がやってきた。二大政党制が定着するかどうかも見ものである。新しい政治の始まりを、しっかりとこの目で見てみたいものである。
  つくしんぼの詩
 景気が1年3ヶ月ぶりにプラス成長に転じたと発表された。このまま景気は、緩やかながらもプラス成長を続けてゆくのだろう。長く続いた前回の好景気と同じように、今回も長く続くかも知れない。
 ただ、好景気が続いたとしても、庶民にとっては全くその実感が沸かないだろうと言うことは、前回の好景気と言われる時期と同じだと思われる。企業は、利益を内部留保して、労働者には、全くその恩恵を配ろうとしないからである。
  虫尽し
 国道沿いの歩道を自転車に乗って走っていた。"あれっ!ヤンマかな?"歩道上に翅を広げて、黄色い帯のある大きなトンボが止まっている。自転車を止めて、上から翅を押さえ込んだが、ばたつかせることがない。札幌で、20年前に一匹だけ掴まえたことのある、小さな頭のコオニヤンマだった。
 国道の近くには、大きな豊平川がゆったりと流れている。多分、そこから飛んできたのだろう。もしかすると、車と接触したかも知れない。掴まえても、脚をゆっくり動かすだけだった。一週間ほど前には、この辺りで札幌では、掴まえたことのなかったアブラゼミを拾った。人通りが少ない訳ではないのだが、やはり道路で昆虫採集をする人がいないみたいである。
  情報の小窓
『進歩主義に限らず、われわれが理性の力に頼るのは当然のことでしょう。進歩主義思想の特徴は、理性の力を伝統や歴史的なものと対比させ、歴史的で非合理的なものの持つ意義を認めようとしない、つまり、理性以外のものの持つ権威や意義を認めようとしない点にあります。
 理性の力による人間の自由や平等性の拡大や、産業技術を使った「物的生産」の拡大が人間を幸福にする。そのためには、非合理的で慣習的なものや、伝統によりかかった「前近代性」を排除し、それと戦う必要である、と考えるのです。』
 幻冬舎新書「自由と民主主義をもうやめる」佐伯啓思著

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