夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その11 発行日  2000年3月6日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 3月5日は、冬ごもりの虫が這い出してくるという二十四節句の一つ啓蟄である。今、外では春の雨が降っている。やっと、三寒四温が始まった。
 庭木の沈丁花が香りよい花を咲かせている。道端では、イヌノフグリが愛くるしい小さな青い花をちょこっと付けている。堅く踏みしめられた道路の傍らにも、セイヨウタンポポが地べたに座り込むように、しっかりと花を咲かせている。これから、一雨ごとに暖かさを増し、いろんな花が野を飾る。さて今年は、いくつの野草の名を覚えられるかな。
  言いたい放題
 日本経済も景気の底を這いずり回っていたが、そろそろ上昇の気配も示し始めてきた。
 アメリカで景気を支え続けてきたIT革命は、多分日本を救うことになるだろう。遅らばせながら結局、アメリカを追従するように景気は回復するだろうが、株価に見られる(ネット株)バブルも、ついでに日本でも膨らみ初め、多分まもなくアメリカで弾けるらろうバブル同様、日本でも弾けるに違いない。まだ先のことではあるが。
 IT革命に乗じられる企業は、世界展開している超大企業と既存の体制に拘束されずに行動することができるベンチャー企業だけだろう。残りの中途半端な企業は、従来の組織が足枷となって、結局景気の波に遅れながら追従するだけの浮き草的存在になる。
 ただ、能力があり野心のために滅私となり得る人々しか生き残れないグローバル化した企業が全てと思わないし、また滅私奉公を常とする旧態依然とした企業も望まない。次なる好景気の間に、新たな制度を作り上げなくてはならない。結局、好景気になったとしても幸せを感じられなければ働くことの意味も、生きることの意味も半ば、失せてしまうだろう。
  つくしんぼの詩
 生殖医療技術が、どんどん進歩して体外受精は、ごく当たり前になってきていて、医療機関では、着々と既成事実を作り上げている。そもそも医療とは病気を治すため、そして病気にならないように予防するものであるが、生殖医療は、それとは違う。誕生した子には、匿名の提供者を知る権利はなく、そこには親の論理しか存在しない。最近ペットのクローン化を商売にする企業が現れたというニュースがあった。生命の商業化は、金さえあれば何でもありということになりそうだ。
  虫尽し
 アルゼンチン中部の牧場脇の小径で、緑色したタマオシコガネが丸くした糞を、よろめきながら転がしていた。一匹が糞にしっかりとしがみついて、もう一匹が逆立ちしながら糞を転がし、凹凸の道を乗り越えてゆく。写真を撮るために、網を置きカメラを向けていると白い網がごそごそと動いている。網をどけてみると立派な角を持った小形のカブトムシがにこっとして、私を見つめ返した。
  情報の小窓
 『三つの私の好きな言葉を、結びのメッセージとして皆さんに贈りたいと思います。フロイトの言葉「断念の術を心得れば、人生は結構楽しいものだ」・・・「波にもまれてなお沈まず」・・・最後は、A.デュマも小説「厳窟王」・・・「待て、しかして希望せよ」・・・・』
 NHK文化セミナー「人間を探る こころの痛み(下)」小此木啓吾著(東京国際大学教授)

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