夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その111 発行日   2010年5月23日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 5月中旬、やっと札幌の梅の花も満開となった。20℃前後の日が5日連続で続くと、梅の花も咲かない訳にはいかなかったようである。また遅咲きの桜も白いエゾノコリンゴの花も、今満開を迎えている。
 一日一日、新緑が眩しくなっているのが良く分かる。市民の山、藻岩山のモノトーンの景色も日に日に濃くなってきた。札幌ではライラック祭りが始まったのだが、花は、まだ蕾のままである。遅れ馳せながらも春は、ひたすら走り抜けようとしている。
  言いたい放題
 NHKを見ていたら、全国に600万人もいると言う、日々の買い物に困る「買い物難民」についての報道をしていた。シャッター通りに代表されるように、各地域の小売店は、郊外の大型スーパー進出によって、閉店へと追い込まれていった。車を持たない高齢者には、日々の食事にも困る深刻な問題となっている。
 私の住んでいるところも、一番近いスーパーまで1km弱の距離にあり、自転車を使える春から秋までは、まだましなのだが、雪の降り積もった冬は、歩いて買い物に行くことになる。多くの世帯では、マイカーが必需品になっているのだが、車の嫌いな私は、飽くまでも自分の足を動かす。今は、これで問題ないのだが、20〜30年後には、歩くのが辛くなり買い物難民になっていることが予想される。
 勿論、そうなることを想定して次なる手は考えているのだが、多くの高齢者にとっては、大きな問題である。地域社会を崩壊させたのは、便利さだけを追求しマイカーを利用してきた市民であり、その影響を受けるのは、交通弱者である高齢者たちなのである。弱者には、本当に住みにくい社会になってしまったものである。
  つくしんぼの詩
 昨年1年間に自殺した32,845人の動機や年齢別などの調査結果の公表による新聞記事を読んだ。動機で最多は、健康問題で、中でも「うつ病」がトップであったとあるが、それでは、問題の解決につながらない。問題は、「うつ病」になった原因を問わなくてはならないのである。
 景気低迷や人間関係の希薄化が進み、50歳代以降の動機は「孤独感」が増加しているとあるのだが、各世帯の町内会への加入が減少するなど、多くのところで地域社会との接点が減少しているということはどういうことだろうか。
  虫尽し
 5月中旬、今年も私の昆虫採集フィールドである定山渓の林道を歩いていた。昨年、この時期、路傍にはセイヨウタンポポがびっしり咲いていたのだが、今年は、未だに、フキノトウくらいである。
 山菜採りに来た人たちが捨てたと思われるゴミを眺めながら歩いていると、切られたヤナギの幹の上に、瑠璃色の虫がいっぱい群がっているのに気が付いた。近付いてよく見ると、数百匹のスジカミナリハムシである。萌え出したヤナギの葉に取り付こうとしたのだが、幹の途中で行き場を失ったようである。
  情報の小窓
『金融は産業の主役ではなく、産業に力を与える脇役であり縁の下の力持ちなのだという、本来の己の分限をわきまえていなければ、同じ論理で自己肥大と自己崩壊を繰り返すしかない。金融工学という道具でみずからをつぶすという歴史は繰り返されるのである。
 現にいま、「サブプライムのあとは、排出権取引だ」などという懲りない声も随所から聞こえる。日本がそのような声の尻馬の乗って、「貯蓄より投資だ」などと走り出せば、日本の一五〇〇兆円という巨額の資産は、海外に出て行ってゼロサムゲーム(だれかが勝てば、だれかが必ず負ける)の波に乗っかり、散々遊ばれた挙句、すべてを失うことにもなりかねない。金融工学を使って儲けようなどという考えは、厳に慎むべきなのである。』
 PHP新書「新しい資本主義 希望の大国・日本の可能性」原丈二著

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