夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その115 発行日 2010年11月21日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 例年より真っ赤に染まったドウダンツツジの紅葉も一つ二つと地面に積み重なってきている。今年の初雪は、まさかのどか雪に襲われ、葉っぱを纏っていた木々は、枝々を湿った重い雪にへし折られ無残な状態となった。イチョウやニセアカシアなどの木々の葉も、落ち葉となって新雪の上に降り積もっていた。
 それから一月位経ち、除雪されて残っていた雪も消え、本来の晩秋を迎えている。時折、ちらほら雪も降り、早朝には、窓に結露がびっしりと付く季節となった。札幌は、もう以前住んでいた沼津の真冬より厳しい寒さになっている。
  言いたい放題
 「公営住宅 入居待ち69万人 低所得者向け公営住宅の不足が深刻だ。2000年度以降、新規住宅の建設はほとんど進まず、高齢者や景気低迷で所得が減った人たちの入居希望が急増しているためだ。倍率は東京の28倍など大都市はどこも高く、国土交通省によると、入居待ちは全国で少なくとも述べ約69万人に達しているという。」(読売新聞)
 生活の基礎となる最低限の衣食住は、保障されなくてはならない。景気低迷と格差拡大を助長してきた社会システムの浸透で低所得者が増加し、そして固定化してしまっている。衣食住の全てにおいて節約は、絶対的に必要なことなのである。低所得者に、将来収入が増える当てはなく、景気低迷のみならず固定化された格差社会の影響で、生活は困窮したままである。また、急速に高齢化社会に突入していることは、既に明白なことであり、高齢者向けの公営住宅は、これからも必要不可欠となってゆくだろう。
 低所得者問題、高齢者問題は、これからの日本において、この住宅問題のみならず、あらゆる面で問題となってゆくことは確かなことであろう。
  つくしんぼの詩
 ティオマン島の薄暗い山林内の小径を歩いていた。以前、来たときには、ここで大きなトカゲを見たことを覚えている。私が今まで見たトカゲの中で一番大きな2mはあるかと思うほどであった。
 今回も見たいと思っていたのだが、なかなか大きいのには出会わなかった。あるとき、車が走り行く道を歩いていたら、道を塞ぐようにして大きなトカゲが横たわっていた。可哀想に車に轢かれていたのである。尻尾を掴んで路肩に引っ張ろうとすると、トカゲは力無く頭をもたげた。
  虫尽し
 大木の林立した薄暗いティオマン島の山を上っていると、セミの啼き聲が聞こえて来ていた。林内に入る前には、クサゼミの仲間と思われる啼き聲がしていたが、林内では、2種類のセミの聲が聞こえていた。
 林内では暗くて近くで啼いていてもセミの姿を見つけることができなかった。"あれかな?"と思って近付いて行くと、さっと逃げて行くので、"あっ!やっぱり!!"と気付くのであった。そんなことを繰り返しているうちに、一匹だけ掴まえることができた。ツクツクボウシほどの小形のセミだった。
  情報の小窓
『釈尊は瞑想において心を広げる方向性を示すものとして「四無量心しむりょうしん」を示した。「慈・悲・喜・捨」という四つのベクトルだが、「慈(マイトリー)」は他者への無差別的ないつくしみ、「悲(カルナー)」は他人の悲しみに自己をチューニングする同化力。「喜(ムディター)」は妬忌することなく他人の喜びを同慶と感じる心ばえ、そして「捨(ウペークシャー)」は突出した感情を捨て去った平静さである。』
 ちくま新書「禅的生活」玄侑宗久著

Copyright (C) 2010 森みつぐ    /// 更新:2010年11月21日 ///