夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その116 発行日 2010年12月19日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 例年だと、12月初旬に札幌も根雪になる。今年は、10月下旬から雪が降っては解け、降っては解けてを繰り返している。そして、とうとう12月の中旬を迎えて、やっと大寒波がやってきそうである。根雪は、間もなくだろう。
 先週からは、洗濯物はベランダではなくて、部屋の中で干すことになってしまった。窓から見えるクルミの裸の大木にやって来る小鳥の囀りが聞こえてくるのだが、一番多くやってくるのはギャーギャーとうるさいカラスの群れである。
  言いたい放題
 東北新幹線が八戸から北上して青森までやってきた。まもなく青函トンネルを抜け北海道へと延伸されることだろう。新幹線、特に地方の新幹線について疑問に思っていたことがある。従来から運行している鉄道が、JRから経営分離されて運営されるということである。儲からないところからは撤退するという姿勢が納得できなかったのである。
 国鉄民営化への弊害が、あからさまに感じられるのが並行在来線の経営分離である。その地域に住む人たちの大事な交通手段が奪われるかも知れないのである。新幹線は、大都市間を結ぶ鉄道であり、その大都市間を補完するのが従来の鉄道である。公共性の高い鉄道が、儲かる新幹線しか運営しないとするJRの方針には、全く納得できない。国鉄が国営だから問題だった訳ではなく、民間企業と同じような経営ができなかったのが問題だったのである。国が変わらなかったのが問題だったのである。
 函館から札幌への北伸も、同じ問題となっている。函館から小樽までの並行在来線も経営分離しようとしているのである。地元に住む人たちの移動手段は奪われ、交通弱者は泣き寝入りする他ない。公共事業の完全民営化は、やはり疑問に思わざるを得ない。
  つくしんぼの詩
 「世界経済フォーラムが10月に発表した「ジェンダーギャップ指数2010年版」経済、教育、政治、健康の4分野での男女格差は、134か国中94位。国連開発計画が11月に発表した「ジェンダー不平等指数」妊産婦死亡率、中・高等教育への進学状況などの評価で10年度版では、138か国中12位」(読売新聞より抜粋)
 日本の男女格差は、このようなデータを参考にしても、まだまだ安定して上位にいる訳ではなさそうである。様々な指標において、上位に位置して欲しいし、日本の閉塞感を打破するのも、女性のパワーであって欲しいものだ。
  虫尽し
 ティオマン島への出港地であるメルシンでも昆虫採集をした。鬱蒼とした原生林は、もはや国立公園に分け入らなくては見つからない。メルシン周辺も、これと言った林はないが、狭く薄暗い林内を歩いていた。
 薄暗い小径を歩いていると、木の幹にべたっと貼り付くトンボがいるのを見つけた。壁にへばり付くアキアカネみたいに、木の幹に貼り付くのである。2種類いると思っていたら、どうも雄と雌であるようだった。一度、飛び去っても、また近くの幹に止まる。
  情報の小窓
『それから今のお話に関連しますが、「なにも労働運動なんかやらなくても、然るべき地位に就いてからその地位の影響力をもってまわりをよくするようなこともできるのではないか」という考え方も、私を可愛がってくれた叔母などにいわれたことがありますが、それはやはり違うと思うんです。封建時代、農民に非常に理解のある名君が出ても、それは限度があります。ましてその権力の全部を手にするわけではなくて、権力の隅っこにぶら下がる程度で、そのまわりを変えていこうということは不可能に近いし、それから権力の末端に連なったことによって人間の意識が変わっていくこと、これは凡人である私には十分ありうることだと思ったのです。』
 角川oneテーマ21「組織と人間」小倉寛太郎・佐高信著

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