夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その118 発行日 2011年2月20日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 平年、札幌では、1日の最高気温が氷点下になるのは、1月初旬から2月中旬までであり、1月末には、寒さの折り返し点を迎える。今週は、既に最高気温がプラスの日が続き、日中は、雪解け水があちこちで溜まっている。
 去年、秋に花を咲かせていたタチツボスミレがすっかり枯れてしまったので、枯れた草や茎などをばっさり切ってすっきりさせていたら、ここに来て白い可愛らしい花が一輪咲いてしまった。他にも蕾がいくつか膨らんで来ている。どうなっているのやら。
  言いたい放題
 「世界銀行は15日、高騰する食料品価格の監視報告書を発表した。食料品価格の1月の全体指数は前年同月比で29%、2010年10月比でも15%上昇するなど、食料品価格の高騰が深刻化した08年6月の水準に迫っている。・・・2010年6〜12月に価格が大幅に上昇した食料品と影響が深刻と見られる国は、小麦75%上昇(キルギス、タジキスタン、モンゴル)、トウモロコシ73%上昇(ブラジル、アルゼンチン)、米17%上昇(ベトナム)・・・」(読売新聞より)
 原因の分析として、異常気象による産地への被害、新興国での需要の増加、そして一番の問題である投機マネーが世界的な金融緩和で市場にあふれ、食料品へと流れてきたことによるものでもあろうと言われている。
 今、問題になっている例外なき関税の完全撤廃を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)においては、農業に関しても関税の完全撤廃である。自国の食糧は、自国で賄うのを原則とすべしと考えるのだが、TPPに参加すると必ず日本の農業は、大ダメージを受けるに違いない。そのようなときに食料品の価格が高騰すると、日本もまた深刻な打撃を被ることになるのである。
  つくしんぼの詩
 昨年末の新聞記事に、「2009年度にうつ病などの心の病で休職した公立学校の教職員は、前年度比58人増の5458人で過去最多だったことが24日、文部科学省のまとめでわかった。心の病による休職者数は17年連続の増加。」(読売新聞)とあった。
 心の病は、1979年度から8倍に増えていて、中高年層が7割を占めているという。人を育てることの難しさもさることながら、昨今の多忙極まる先生たちの勤務状態やモンスターペアレンツに代表される過激で論外な要求に先生たちのストレスが蓄積されるのも無理のないように思われる。改善すべきことは分かっているのに、国が効果ある対策を採っていない事に問題がある。
  虫尽し
 春の終わり、定山渓のいつもの林道を歩いていた。今年は、この林道を伐採した木を運び出すため林道には、ブルドーザが入って道を拡幅していた。路傍には、蕗やタンポポなどいろんな草花で賑わっていて、昆虫たちもいっぱい訪れるのだが、残念ながらブルドーザが大型トラックを通れるように道を掘り返してしまった。
 そんなブルドーザの音が聞こえてくる泥交じりの道を歩いていたら、大きなトカゲを見つけた。“えっ!もしかしてエゾサンショウウオ!”大きな雌である。“早く道を渡らないとペッチャンコにされちゃうよ!”
  情報の小窓
『これまで述べてきたように、現代は、個人としては倫理的な人間が、帰属する企業のポストが要求する役割を演ずることで悲倫理的な行動をやりながら、それが自分だけの利益を追求しているのではないという理由で、個人的に責任を感じないですむ集団エゴイズムの時代である。
 こうした、いわば集団的無責任社会を改革するためには、企業への転出入を容易にして帰属のキズナをゆるめたり、企業に頼らずに生きていく方法を考えるといった、外からの改革とともに、企業という封建社会の組織構造を変えていくという方法も考えられなければならないだろう。』
 角川oneテーマ21「組織と人間」小倉寛太郎・佐高信著

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