夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その119 発行日 2011年3月20日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 先月、咲いたタチツボスミレは、結局、2輪だけ咲いて終わってしまった。でも、まだすべて枯れてしまった訳ではなさそうなので、暫らく、このままにしてどうなるか見てゆくつもりだ。去年、集めておいた種を少しだけ蒔いておいたので、芽が出てくれば嬉しいのだが。
 白い雪が解けては積もってを繰り返しているが、徐々には、減ってきている。三寒四温には、まだ一歩足りない。今週も、四寒三温である。春は、柳のビロウド状の蕾が微かに膨らみ始めてきたことで少し感じる位であろうか。
  言いたい放題
 3月11日午後2時46分、東北地方三陸沖でM9.0の巨大地震が起きた。その後も、M7を超える余震が続いた。札幌も、その地震により震度3の揺れがあった。ちょうどそのとき、私は、外出先から帰宅する途中で、そのことに全く気付かずに3時20分過ぎに家に戻ったのである。
 部屋に入って、いつもの通りラジオをつけると、津波到着時刻を伝えるニュースが流れていた。“何処かで大きな地震があったのかな?”と思い、ラジオを消し、テレビをつけると東北太平洋岸に津波警報が発令されている模様が流れていた。2〜3分、その模様を眺めていると、家ががたがたと揺れ始めてきた。M7.2午後3時26分に起きた余震だった。やっと、事の次第を理解した。40分ほど前に、今の地震より遥かに大きな地震が東北で発生したのである。
 そして時々刻々、津波に関するニュースが流れていた。津波が田畑の上を瓦礫とともに流れてゆくというヘリコプターからの映像は、現実から大きく離れていた。その先の道路では、未だに車が走っている。その後に、テレビに映し出されてゆく津波が町を飲み込んでゆく様子をただじっと見入るだけだった。
  つくしんぼの詩
 既に解散した「つくしんぼの会」は、1995年1月の阪神淡路大震災のときに、義援金集めで結成した会であった。春に向かって厳しい環境のアスファルトの割れ目からでも、元気に顔を出すつくしんぼみたいに復興して欲しいと言う希望を元に付けた名前であった。
 今回の東北関東大震災は、春を目前にしての激甚の災害であった。まだまだ被害の全容も明らかになっていない。肉体的にも精神的にも崖っぷちに立たされていると思われる被災者たちに、私個人として何が出来るかを考えてみたいと思っている。阪神淡路大震災のときを思い出しながら。
  虫尽し
 私の部屋の中には、清見オレンジの2年目になる小木とタチツボスミレの茎との2つの鉢が置いてあるが、延々と、腐葉土を食べて育つクロカの仲間と思われるのが、細々と命を繋いでいる。“そのうち標本にしてやる!”と思いながらも、そのまま放っている。運のいい奴らである。
 4月に入ると、何処かで私の大事なものに食らいついていたヒメマルカツオブシムシが早く出してくれと窓辺へと出てくることだろう。“そうはさせないよ!”
  情報の小窓
『現在の企業という封建社会の中では、上司の命令に黙従する社員になることも、部下に専制権力をふるう社長になることも、同じく「精神のドレイ」になることなのだろうという視点に立って、ドレイの精神からの脱却を図ることが「企業人革命」の出発点であり、また到着点だからである。』
 角川oneテーマ21「組織と人間」小倉寛太郎・佐高信著

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