夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その124 発行日 2011年12月18日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 12月に入って、本格的に雪が降ってきた。いつも通りの冬である。多くの木々は葉を落としたが、赤い実を未だに枝に纏って飾り立てているナナカマドみたいな木もある。最後まで大きな葉を落とさず頑張っていた栗の木は、雪が舞い始めてもまだ、多くの葉を身に纏っている。
 部屋の中では、3回目の冬を越している蜜柑の木が、新しい葉を伸ばして元気なようである。そして秋に加わった小さなガジュマルの木が、新しい環境に戸惑ったようにじっとしている。
  言いたい放題
 「政府は10日未明、2012年度税制改正大綱を閣議決定した。政府・民主党間の交渉が難航した自動車課税は、自動車重量税を年1500億円減税することなどが決まった。・・(省略)・・自動車重量税の減税を決めたことについて、「自動車産業には日本経済の牽引役になってもらわないといけない」などと述べ、・・(省略)・・エコカー減税は、・・(省略)・・規模を縮小した上で3年間延長する。」(読売新聞より)
 これからも、自動車産業が日本経済の牽引役であり続けることを国が公言している。確かに自動車産業が世界経済を引っ張り、物に溢れた社会にしてきた。車が人類にとって素晴らしいメリット供与してきたことは疑いもない事実であろう。ただ私は、車が人類にもたらしてきたデメリットに大きな問題を感じている。車の排ガス問題に始まった地球温暖効果ガス問題は、燃料がガソリンから電気に置き換わることによって解決するように思えてくるが、電気自動車の全体像を私は、まだ理解しきっていないので問題の解決になるかは不明である。そして一番大事な問題点は、簡単に人を殺傷することである。他人の命よりも、自分の利益が優先されているのである。
 もう、そろそろ国は、このような自動車産業から距離を置く政策をしなくてはならないだろう。右肩上がりの経済成長だけでは、真の幸せは手に入らないことは、薄々分かってきていい頃だと思っている。ほどほどの経済成長の中で、幸せが感じられる生き方を求めなくてはならない時代が来ているのである。
  つくしんぼの詩
 「厚生年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、加入者が無収入となる期間をなくすため、厚生労働省は企業に対し、希望者全員を65歳まで再雇用するように義務付ける方針を固める」(読売新聞より)
 人口減少社会、超高齢化社会を迎えようとしている日本において、労働力の確保は重要なことである。年金問題もあるが、労働力問題も、これからの日本の姿なのである。65歳定年ではなく、今まで通り定年は60歳、希望すれば65歳まで働けるようになることは良い方向だろう。更に、70歳と延長されてゆくの望ましい。
  虫尽し
 昆虫は何でもかんでも採集しているのだが、残念ながら、時間に制約のあったサラリーマン時代は、主にチョウやトンボの採集が多かった。しかし会社を辞めて、3年前から、やっと大好きな虫さんを何でも採集するようになった。
 インドネシア・スラウェシ島での採集は、ハチやアブなども眼で追いながら掴まえていた。小径を歩いていたら、大きな白い帯のあるクマバチが草の上を飛び廻っていた。掴まえようと近付いて・・・、”あれっ!”ハチじゃない!”網に入っていたのは、大きなムシヒキであった。
  情報の小窓
『人間は誰しも、ほかの人々との関わりの中で暮らしています。他者の評価がまったく気にならない者など、この世にも存在しません。
 他者のまなざしにとらわれ、振りまわされそうになったとき、その防波堤となるのはやはり「個」なのでしょう。「他人がどう思おうが自分は自分だ」と思える核となる自己が育っているかどうか。
 そういう確固たる「個」は、自分の頭で考え抜くと同時に、互いの意見をぶつけ合いながら人間関係を深めていったり、ときには周囲の声に抗ってでも自分の意思で選択し行動することによってしか鍛えることができない。』
 集英社新書「不幸な国の幸福論」加賀乙彦著

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