夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その131 発行日   2012年8月19日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 7月末に6日間続いた真夏日を最後に、札幌は30℃を超える日はない。日が暮れ始めると開いた窓から、秋の訪れを奏でる弱々しいカンタンの鳴き聲が部屋の中へと流れてくる。
 30℃を超えないといっても、平年より高い日が多く、木々の葉は、すっかり蝕まれて瑞々しさを失い色褪せ始めて来ている。そして叢では、ギースチョンとハネナガキリギリスが声高に鳴いている。虫の音も秋へと移ってきているようだ。
  言いたい放題
 消費税引き上げを柱とする社会保障・税一体改革関連法が参院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。法案成立後野田首相は、記者会見で国民への説明として、「マニフェストに消費税引き上げを記載していなかったことを深くお詫びしたい」と述べた。
 法案成立後にお詫びなんて、順番が逆であろう。まず、最初に、マニフェストの不備を説明し、記載外のことを実施するならば、マニフェストを修正する必要があったのではないだろうか。民主党政権の大きな失敗であり、それに気付いてからも修正することもなく、開き直ったかのように、やらないといっていた消費増税に踏み出した。
 私は、いつか消費増税を実施しなければならないときがやってくると思っていたが、余りにも唐突だった。そして時期も最悪だった。「国民に真を問う」選挙において、民主党も、自民党も票を伸ばすことはできないだろう。それどころか、民主党は、大惨敗となるだろう。また、最近話題の地域政党にも私は、全く期待していない。一歩後退の2大政党制、これからもそれを目指すだけである。
  つくしんぼの詩
 先月のニュースだが、2011年の日本人の平均寿命が男女とも短くなり、順位を落としたとのことである。特に、長寿世界一を26年間続けた女性が2位になった。因みに、男性は、4位から8位へ。
 長生きは、それだけで素晴らしいことである。ただ平均寿命が延びることよりも、更に健康寿命を延ばすことを期待したいものである。生き甲斐を持って一日一日を大切に生きてゆけば、死んでる暇などないはずである。
  虫尽し
 札幌には、クロスズメバチやホオナガスズメバチの仲間の殆んどが生息している。定山渓の林道を歩いていると、小さな花をいっぱい咲かせたアマニュウなどに、忙しく走り回っているのを見かけるが、見ただけでは種類は分からない。
 今年は、なぜか林道を歩いていると、何も悪いことはしていないのにも拘らず、3回もクロスズメバチが喧嘩を売ってきた。最初はアブかなと思っていたが、クロスズメバチである。余りにもしつこかったので、網で掴まえて標本にしてしまった。
  情報の小窓
『ところで社会に共通感覚が失われてきた時代であるにもかかわらず、今、裁判員制度の導入が話題になっている。国民の間に共通感覚があり、社会に常識が機能しているときには裁判員には意味があるかもしれないが、それらが失われ、非社会性が問題である時代の裁判員制度には疑義がある。つまり刑事裁判に市民感覚を反映させると言ってもその土台が今の日本では崩れてきているのではないかと言うことである。何人かの市民を刑事裁判に参加させることで社会の常識とか、市民感覚を反映させることが出来るかと言う疑問である。裁判員に選ばれた人の常識とか、市民感覚というものが、人によってあまり信用できないものである。人と人とがふれあっている時代なら良いが、今のようにコミュニケーション喪失の時代に裁判員制度は極めて危険な制度である。』
 角川Oneテーマ21「非社会性の心理学」加藤諦三著

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