夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その136 発行日   2013年1月20日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 昨年末から続いている真冬並の寒さは、今も続いている。そのせいもあるのか札幌に帰ってきて6年目にして、初めて風邪を引いてしまった。鼻水を垂らしたのは半日足らずのほんの軽い風邪だったのだが、それでも風邪は厭なものである。
 窓の外は雪が舞っているが、部屋に置かれたガジュマルの木は、成長は止まっているものの葉っぱは青々としている。そして、すっかり葉っぱを落とした蜜柑の木は、新しい葉を伸ばし始めてきた。春が待ち遠しいのは私だけではなさそうだ。
  言いたい放題
 年率3%の経済成長を目指して、自民党政権が動き出している。経済成長を促進し、企業が潤うことによって、労働者の給料が上がり、雇用も増加し、それによって経済が好転してゆくというシナリオのようである。
 経済成長は望まれることではあるが、先進国であること、超高齢化社会であること、人口減少社会であることなどを総合的に考えて、これからの日本は、高度経済成長には無理があるとしか思えない。総中流社会の安定した日本を、規制緩和等によって正規雇用者を減らし、非正規雇用者を増やし格差社会ヘと固定化してしまったのは、前自民党政権である。不安定な雇用形態の労働者を一気に増やしてしまったのである。
 自民党の新政権は、またもや同じ失敗を繰り返そうとしている。日本には、日本の風土に合った雇用システムがあったが、それも崩壊してしまった。一時的に経済が活性化して企業が儲けたとしても、企業は内部留保して、労働者には、その利益は分配されないだろう。そんなことは、誰もが分かっていることである。これからの日本は、低い経済成長でも心の豊かさを実感できるような経済システム、社会システムを模索してゆく必要があるのである。
  つくしんぼの詩
 昨年の秋、北海道では珍しく残暑が続いていた。そのまま秋は遅れて、冬の到来も遅れて行った。この冬は、このまま暖冬になるかと期待していたのだが、年末から一気に冷え込み、今に至っている。
 北日本の1月上旬の平均気温は、平年より3.3度低くなっているとのことである。地球温暖化は、時には厳しい寒気という異常気象をもたらす。雪国で生活する人々にとって、特に経済弱者にとっては、生きるか死ぬかという危険を伴う厳しい冬となっている。
  虫尽し
 春の林道を歩いていたら柳の枝に、真っ黒い小さな幼虫が群れをなして巣食っていた。何の蛾か分からないが、写真を撮ることにする。2週間後、再びそこを通ると、まだ巣食っている黒っぽい幼虫がいた。3齢位になっているようだ。よくよく見るとタテハチョウの幼虫みたいである。そのときも、写真だけを撮って帰った。
 ところが、その後なかなか行くことが出来ず、結局3週間後になってしまった。柳の枝は折れ、当然巣も無くなっている。柳の枝や近くの草木を探したら、一匹だけ蛹を見つけた。ヒオドシチョウである。本当は、幼虫を育てたかったが口惜しいけど仕方ない。
  情報の小窓
『ドゥッバチャの生き方というのは、「自我中心で、自分のプログラムで自分のやり方で生きてみるぞ」というものです。人は、「これが私の楽しみだ」と勝手なプログラムを作ってその通りに生きようとします。しかし、実際にはそのプログラムは成立しません。「生きることは苦である」とも知らないし、渇愛・執着があることもわからないし、ただ単に自分の苦しみゆえに「こうなったら幸福だ」と決めつけているだけです。ただ決めているだけでは、その通りになるわけがありません。』
 サンガ新書「怒らないこと2」アルボムッレ・スマトサーラ著

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