夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その139 発行日   2013年4月21日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 この冬の雪は、後半になって降り積もったからか、平年に比べて暖かいわけではないのにも拘らず、一気に雪は融け、思っていたよりも早く消えていった。それでも、硬く堆積した雪は、未だに真っ白なまま堆く残っているのである。
 雪から顔を出した土は、暖かい日射しを受けて、仄かに土の薫りが漂うようになって来た。南向きの土手には、既に蕗の薹が伸び始めてきている。
  言いたい放題
 「政府はリストラで工場が閉鎖された場合などを想定した解雇ルールを明確化する。雇い入れる際に解雇しやすくしておけば、正社員として雇用しやすくなる。衰退産業から成長産業に労働力を移し、政府が掲げる「産業の新陳代謝」を進めたい考えだ。・・・(別紙面へ)・・・硬直的な雇用慣行が日本経済の新陳代謝の妨げになっているとみて、改革に乗り出し、経済成長につなげる狙いがある。しかし、解雇のルールがより明確になることに対し、解雇の横行につながることを懸念して労働界から反発が出る可能性もある。(読売新聞より)」
 一月以上も前の新聞記事である。以前、自民党政権は、規制緩和と称して正規雇用者を減らし、非正規雇用者を増やし、総中流社会の日本を不安定社会である格差社会に変貌させてしまった。そして今度は、更なる強化策として、正規雇用者を解雇しやすくするという規制緩和に乗り出し、決定的な格差社会の固定化を目指そうとしている。すっかり国は、企業国家になってしまったようである。
 労働者は、ものではない。少なくても日本においては、会社は、経営者のものでもないし、株主のものでもない、そこで汗水流し働く労働者たちのものである。各国の文化の相違を認めるならば、TPPも雇用ルールも世界標準は有り得ないのである。
  つくしんぼの詩
 「熊本県に水俣病と認められなかった同県水俣市の女性の遺族が患者としての認定を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷は16日、女性を水俣病と認めた2審・福岡高裁判決を支持し、県の上告を棄却する判決を言い渡した。原告の勝訴が確定した。(読売新聞より)」
 水俣病は、工場排水に含まれるメチル水銀による1956年に確認された公害である。公害が大きな問題になっていたとき、その加害者である企業や国は、自らの責任を認めない状態が続いていた。そんな企業や国の態度を見ていて私は、企業や国を信じなくなっていた。その公害の原点である水俣病が未だに終焉を迎えていない。
  虫尽し
 私のよく行く定山渓のフィールドには、図体の大きなマルハナバチの仲間が5種類ほどいる。スズメバチみたいに気が荒いハチではないので、花に吸蜜に来たとき、カメラを向けるのだが、花にじっと留まることなく、次の花へと飛び立つのである。いつも、ピンボケとなる。
 定山渓のフィールドでは見かけないのだが、住宅街の花で外来種のセイヨウオオマルハナバチを見たことがある。ただ、こちらは、撮影も採集もまだである。
  情報の小窓
『問題は「自我」なのです。戦争は措いても、われわれは「自我」という身動きできない鎧兜で身を固めています。自我で固めるということは、他の生命に対して鎧をかぶることです。鎧をつけた時点で、周りはみんな敵だらけです。やる仕事は決まっています。「お互い戦って、殺し合いをやりましょう」ということです。』
 サンガ新書「怒らないこと2」アルボムッレ・スマトサーラ著

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