夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その140 発行日   2013年5月19日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 5月に入っても、気温は平年を下回る日が続いている。毎日毎日どんよりした曇りがちの空が陽を遮って、一段とひんやりさせている。それでも札幌では、桜が開花し始めていて、遅くなったがピンクの蕾がほころんできた。
 タンポポも黄色い花を咲かせ始め、レンギョウの黄色い花も開き始めてきた。民家の庭には、今年も賑やかにエゾムラサキツツジが咲き誇り、すっかり春らしくはなってきた。キタコブシの大きな白い花も、もうじき花開くことだろう。
  言いたい放題
 「総務省は14日、1〜3月の労働力調査で、非正規の職員・従業員のうち、男性では「正規の職員・従業員の仕事がないから」という理由で非正規雇用の労働を選んだ人が最も多く、31.1%に上ったとする結果を発表した。・・・(省略)・・・同省は「男性は正規雇用を求める割合が女性に比べて高いが、企業側の求人が少なく、非正規雇用を選ばざるを得ない状況を表しているのでは」と分析している。(読売新聞より)」
 望まない非正規雇用者が、348万人いる。国として格差社会の低階層に追いやられた人たちは、これからもこれでいいと思っているのだろうか。国は、この状況をどう見ているのだろうか。政府は、格差があって当然と、そ知らぬ顔をして格差社会を固定化させるシステム作りに専念しているようにも見えてくる。
 グローバルな経済システムは、世界各国に格差社会を作り出してきている。企業中心の、経済中心の国家が、格差社会そのものとなっているのである。総中流社会だった日本、経済のグローバル化に対応して行う企業側に有利な規制緩和が、更なる格差社会へと押し遣ってしまう。企業は、都合のいい労働者が欲しいだけなのである。
  つくしんぼの詩
 常態化した長時間労働が、未だに問題になっているようだ。“1日10時間以上働く男性サラリーマンは、増加一方である“と、テレビの報道ニュースで流れていた。管理職が率先して、残業せずに帰宅するなどのお手本を見せないといけないという。
 少なくとも日本において定時で帰宅することは、経営側との間に大きな軋轢を生むことは確かなことだろう。管理職の一存において、労働者を定時で帰すことも、大きなリスクをもたらすことだろう。変わらなくてはいけないのは、企業のトップである。しかし大多数の企業は、何も変わらないだろう。長時間労働は、労働者の心の病に罹るトップの原因であると私は思っている。
  虫尽し
 庭の雪が融けるとまもなく、福寿草やクロッカスがぐんぐんと伸びてくる。それと同時に、冬の間、雪の下の土の中でじっとしていただろうクロヤマアリが這い出してきて、歩き回っているのが見受けられるようになるが、まだまだちょっと動作が鈍いようである。
 先週、開き始めた明るい紫色のエゾムラサキツツジには、まだ虫が訪れてきていなかったのだが、午後、暖かくなってくるといつものように、真っ先にやってくるエゾコマルハナバチがブ〜ンという羽音とともに、花から花へと飛び回っていた。
  情報の小窓
『自我という錯覚があると、次の結果は決まっています。極限に怒る人生になります。ですから、われわれは新たな人生論をつくる必要があります。自我とは幻覚です。この幻覚にからまれたらどうしようもないのです。車輪の中で回り続けるだけのハムスターのように、限りなく怒りの道を、歩まなくてはいけないのです。それをきちんと知ってください。われわれは車輪の外側に目的地を置かなくてはいけないのです。』
 サンガ新書「怒らないこと2」アルボムッレ・スマトサーラ著

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