夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その143 発行日   2013年8月25日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 ムクゲの花が咲き、秋の花コスモスやオオアワダチソウも既に咲き始めている。空き地には、黒いむかごをつけたオニユリも咲いていて、なかなかいい風景となっている。
 そして今は、鳴く虫たちの天国である。少なかった昨年の分も取り戻すかのようにセミは勢いよく啼いている。ハネナガキリギリスも空き地や国道法面の僅かな草地で鳴いている。そして、鳴く虫の代表種であるカンタンも軽やかに鳴き始めた。
  言いたい放題
 これまでの経済システムは、右肩上がりの拡大路線でしか経済を維持してこれなかった。デフレ経済では、来年は今年よりも経済が縮小してしまうので、デフレの脱却に必死となり、インフレを目指すことになる。ただ、これは従来の経済システムでのことである。現自民党政権も、これに沿って経済成長を目指している。
 これからの経済システムも、今までと同じでいいのだろうか。近い将来、日本は超高齢化社会となり労働人口は減少する。日本の人口は減少し、市場は縮小する。今までと同じ労働環境、企業にとって非常に有利な雇用条件のままでは、心の病を抱える労働者は、ますます増える一方だろう。子供たちのゆとりのない教育制度への回帰、2極化させられた労働者の格差は拡大し、国民総うつ病もなんら不思議ではない。
 経済発展も、幸せを得るためであろう。でも、その幸せとは、なんだろうか。便利さを求めて人類は、いろいろな物を発明・発見してきた。そして経済を発展させ、人々は幸せを手に入れてきたように思ってきた。ただ全ての物には、メリット、デメリットがあるのに、デメリットには、極力、目をつぶってきたのである。幸せってなんだろうか。じっくり腰を据えて、幸せについて考える必要があるのではないだろうか。右肩上がりの経済システムではない、本当の幸せを実感できる経済システムを追い求めたいものである。
  つくしんぼの詩
 今年の西日本の猛暑のニュースは、異常そのものである。毎日のように、35℃を越える猛暑日、25℃を越える熱帯夜が続くと、ぐったりどころではなく、何も手につかなくなってしまうことだろう。まして、こんな暑さの中、一日中、エアコンも使用せずに、家に閉じこもっていたら、体は持たないだろう。
 この夏、高齢者たちが、家の中で熱中症と思われる原因で亡くなっている。エアコンを使用しないので、部屋の温度は、30℃を優に超えている。来年からも暑い夏になると思われる。猛暑から高齢者を守る方法を考えなくてはならない時代になってしまった。
  虫尽し
 7月下旬に入ってから、札幌も梅雨みたいにどんよりした日が続き、野山から遠ざかっていた。そして曇り空の朝、天気予報の“晴”を信じて、定山渓へ行った。
 少しぬかるんでいた林道には、メマトイやゴマフアブがしつこく付きまとってきた。空は、晴れるどころかどんどん雲が厚くなってきて、昼頃には小雨が降り出して来た。その中、小さな虫たちを採っていると、足元に何か虫が飛んできた。“ヘビトンボ?”よくよく見ると、ミヤマクワガタの雄である。デジカメを持つようになってから、初めて出会った雄のミヤマクワガタだった。
  情報の小窓
『競争が自由化され、どんどん市場に参入できる人や国がある一方、まったく落伍してしまった人や地域があって、その差がどんどん大きくなりつつあります。また一度落ちてしまうと、なかなか上に上がることができません。
 日本でも階級固定化社会になって、いわゆる勝ち組と負け組みにはっきり分かれつつあるように、国と国との関係も、明確に勝ち負けが出てしまった。
 むしろ、あえてそうした“差異”を作ろうとする傾向が資本主義社会にはあります。グローバル化が本来の意味で進めば、国境や民族の違いというものがなくなっていくはずなのですが、そうなってしまうと、資本は価値を作り出せなくなってしまうのです。価値は“差異”によって作り出されるものなのです。』
 集英社新書「ニッポン・サバイバル―不確かな時代を生き抜く」姜尚中著

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