夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その146 発行日 2013年11月24日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 去年の今頃は、大雪となり、それが融けずに根雪になった。今年の初雪は、2週間以上も前になるが、11月としては暖かい日が続いて、まだ冬が足踏みをしているようだ。
 名残惜しそうに未だにしがみ付いている幾数枚の枯れ葉が木々で、風に吹かれてそよいでいる。路上には、強風でもびくともしない濡れ落ち葉があちこちに染みとなってへばり付いている。小さい黄色い菊の花だけが、寒い地に彩りを添えている。
  言いたい放題
 JR北海道のここ数年間続いているトラブルは、異常な状態であることは確かである。そして、レール幅の計測地のデータ改ざんは、異常な状態を通り越して一種の事件となった。企業としてあるまじき失態であろう。これまでも信用を失墜させてきたが、今回の件で完全にとどめを刺されたようである。
 国鉄の民営化により、多くの鉄道支線は廃線へと追い込まれてしまった。広い北海道で人口の少ない地方においては、赤字が許されない民間企業であるJR北海道は、赤字ローカル線から撤退してゆくほかないのである。交通弱者である市民たちは、ますます不便な移動を押し付けられてきている。北海道において国鉄が民営化されたら、札幌周辺のほんの一握りの黒字路線以外は、全て赤字路線になることは分かっていたことである。新幹線が通るときは、儲からない並行在来線を切り離して、市民の足であることを辞めることである。
 赤字体質のJR北海道にとっては、人も金も不足する中で精一杯努力するのだろうが、それも限界に達したときに現在のJR北海道みたいな状態に陥ってしまうのだろう。国鉄民営化が為したデータ改ざん事件である。全国一律のための国営化のはずだったのに、民営化がそれを崩壊させてしまったのである。
  つくしんぼの詩
 読売新聞の論説「クルマの未来へ 自動運転事故ゼロの夢」で自動運転について書かれていた。その中に、「トヨタ自動車の豊田明男社長は「交通事故死をゼロにするのがメーカーの総意だ」と強調する。」と書かれていた。
 交通事故死ゼロを目指すのは当然のことだが、自動車メーカーの言葉をそのまま受止める訳にはいかない。今まで、どれだけ多くの人たちが死に、そして障害者にしてきたことか。マイカーという便利さと引き換えに、どれだけ多くの犠牲を払えば済むと言うのだろうか。
  虫尽し
 野山を歩いていても、チョウの蛹を見つけることは殆んどないと言ってもいい。蛹になるときは、食べていた草木から離れて目立たない場所で蛹になるからである。私が野山を歩くときは、隠れた蛹を見つけ出そうとして探し回っている訳ではないので、尚更、見つけることは少ない。
 6月末、林道を歩いていると、粗く綴った笹の葉に、白い粉を吹いた蛹が包まれていた。この時期、一番良く見かけるのがマイマイガなどのドクガの仲間の蛹である。“何者?”と思って、持ち帰ることにした。それから一週間後、思いも寄らずキバネセセリが羽化していた。確かに、セセリチョウの蛹であったのに、気付くのが遅かった。
  情報の小窓
『ものごとを白か黒かの二分割で判断するのも、心の掃除が必要な状態です。
 たとえば周りの人間すべてに対して、敵か味方かという判断だけを下してしまうような状態です。・・・(省略)・・・敵と判断した人間の前ではつねに緊張や憎悪の感情や軽蔑感を持ち続け、味方と判断した人間には必要以上に頼り切ることになります。
 もし味方と思い込んでいる人間が反対意見を口にすれば、裏切られた気分になるでしょう。あるいは敵と思い込んでいる人間の意見には正しいと思っても賛成できないでしょう。
 つまり、生き方や判断がどんどん狭いものになっていくのです。』
 新講社ワイド新書「「感情の整理」が上手い人下手な人」和田秀樹著

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