夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その155 発行日     2014年8月24日
編集・著作者       森 みつぐ
  季節風
 ムクゲの花が咲き始めた。今年は、8月上旬で真夏は終わってしまったようである。空一面の青空を、ここしばらく見ていないような気がする。すでに秋の花であるコスモスは、道端や民家の庭々を彩っている。次は、菊の出番であろうか。
 7月の終わりから8月の初めにかけ続いた好天で、セミは一気に啼き出した。でも、その後の天候不順で、ツクツクボウシは元気が良かったが、アブラゼミとエゾゼミは少なかったようである。まもなくセミの季節が終わってしまうが、先日から繊細なカンタンの鳴き声が風に乗って聞こえてくるようになった。秋が近付いてきた。
  言いたい放題
 今年の札幌の夏は、寒くなるとか暑くなるとか、いろいろと予報は変わってきたが、結局、札幌の夏は、余り夏らしい夏ではなかったような気がする。ここ数年来続いてきた暑い夏は、ひとまず一息ついたようである。
 ただ温暖化傾向には変わりはない。6月の新聞記事だが、「今世紀末の札幌 真夏日50日に」というタイトルで、「環境省は6日、このまま地球温暖化が進むと日本各地の気候が今世紀末にどうなるかを予測した結果を発表した。最高気温が30度以上の「真夏日」が全国的に大幅に増え、東京は1年の約3割、沖縄は約半分の日数に到達。全国の平均気温は、現在より最大4.7度上昇すると予測した。…(省略)…真夏日の年間日数、東日本の太平洋側で平均58.2日増え、東京は現在の48.5日(平年)から約110日に倍増する。現在は真夏日がほとんどない北海道・釧路も約40日が真夏日になる。(読売新聞より)」
 今後80〜90年の間に、これだけ気温が上昇すると、動植物を含めた自然に与える影響は、計り知れないものであろう。札幌は、現在の東京のような気候になってしまうのである。単純に気温の上昇に留まるのではなく、雨や雪を含めた気候そのものが大きく変わることを意味している。今のままの経済活動や生活をしていたら、この予想通りの結果になってしまうだけである。
  つくしんぼの詩
 今年は雨が多い。最近の傾向かも知れないが、極端な気温や極端な雨、気象の変動の異常傾向が見られる。今は、早い秋雨前線の影響で本州に多くの被害をもたらしている。山岳地帯の渓谷は、危険極まりない状態となる。
 河川の護岸は改修され、その近くまで家が建ち並ぶ。崖は切り崩され、そしてそこに家が建つ。道路はアスファルトで埋められ、居住区も僅かな土の庭が残されているにすぎない。雨が降るとアスファルトの上を雨水は流れ、直線的な河川を下ってゆく。そして災害が発生する。
  虫尽し
 私は、ヤママユガの仲間が好きである。私が昆虫採集を始めたきっかけとなった昆虫がシンジュサンだからである。定山渓では、一番多く見かけるヤママユガの仲間は、やはりクスサンである。
 7月に入って林道に一杯大きな糞が転がっているのを見つけたら、それは多分、クスサンの幼虫の仕業だろう。クスサンの幼虫は、群れをなして大木を丸裸にしてしまう。毎年、そんな木を見つける。今年も林道を歩いていたら白い長い毛で覆われた大きな幼虫を見つけた。その時、近くで葉っぱの上に何かが落ちたバサッという音がした。クスサンの幼虫は、もしかしたら、繭を紡ぐための移動では、幹を降りてくるのではなくて、枝から飛び降りるのではないだろうか。
  情報の小窓
『人の意見に耳を傾けない、あるいは、黙殺したり、意固地になって反発する人を見かけたら、その人は「幼い心」の持ち主で、「自分というもの」がまだ育っていない人と判断して間違いない。
 なぜ、そんな行動をするのかといえば、「おれはおれのアイデアでやりたいから」というのだが、それは周りの人の好意を無にしていることになり、自分の成長を妨げるばかりか、自分を孤立させることになり、孤立すればするほど意固地な性格に凝り固まっていく・・・・という悪循環にはまる。
 なぜ、人の意見を素直の受け取れないのか、さらに深く掘り下げると、「人の意見を受け入れたら、自分が自分でなくなってしまう恐怖心があるから」というところに行きつく。つまり、弱い自分を守るために、人の助言を拒否するという構図になっている。』
 新講社ワイド新書「「なぜか人に求められる人」の共通点」斎藤茂太著

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