夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その166 発行日   2015年7月26日
編集・著作者    森 みつぐ
  季節風
 テレビで各地の梅雨明けのニュースを見ていると、映像の背景からニイニイゼミ、クマゼミやミンミンゼミの啼き聲が聞こえてくるようになった。以前住んでいた沼津でも20日を過ぎ梅雨も明けると、クマゼミとアブラゼミの賑やかな聲が朝早くから、まだ眠っている部屋の中へと飛び込んできたものである。
 ここ札幌でも、エゾゼミやアブラゼミが啼き、そしてハネナガキリギリスも鳴き始める頃なのだが残念ながら今年は、まだエゾゼミが啼き始めたばかりである。
  言いたい放題
 「東芝は21日、不適切会計問題の責任をとり、…(省略)…歴代3社長が同日付で辞任したと発表した。外部の第三者委員会による調査で、会計操作への関与が明確になったためだ。取締役でない西田氏のほかに、副社長4人全員を含む6人も辞任し、取締役16人の半数にあたる8人が引責辞任する異例の事態に発展した。…(省略)…第三者委の調査報告書は、歴代社長が「チャレンジ」と呼ばれる業績の目標値を設定し、達成を強く迫ったことが会計操作につながったと指摘した。(読売新聞より)」
 そもそも私は企業を信用していないので驚くようなことではなかったが、少し気付くのが遅すぎはしないかと思ってしまった。上司が業績の目標を強く迫るということは、企業としてごく当たり前のことであり、そのことにより不正が行われるとしたら、大企業の器ではなかったということだろう。企業は、法令を遵守させるためのコンプライアンスがあるのに、それが案の定、機能していなかったのだろう。この企業のコンプライアンスも私は信用していない。
 ただ株式上場の大企業がこのような状態では、中小企業に至ってはどうなっているのであろうか心配してしまうのである。中小企業のチェック機能は、大企業に比べて遥かに弱いだろう。ただ大企業より単純な組織であるだろうから、不正も発覚しやすいかも知れないが、不正の揉み消しも簡単かも知れない。組織が小さくなればなるほど、いろいろな不正が容易に闇の中で行われているような気がしてならない。悲しいけど、これが現実である。
  つくしんぼの詩
 何回でも書く。先日、自転車の通ることができる国道の歩道を、いつものようにゆっくりと走っていたら、国道と直交する小さな道から車が出てきた。10m位先なので自転車には気付いているはずなのに、そして国道の車は暫く途切れそうにもないのに、歩道を塞ぐように止まってしまった。
 歩道の歩行者や自転車は、車を避けるように後ろを回って行けとばかりにである。日本は、弱者である歩行者より強者である車を優先する社会のままである。このように日本には、運転マナーの悪い運転者が、ごく当たり前にハンドルを握っているのである。
  虫尽し
 早朝、ゴミ出しに出た。ゴミ置き場の近くまで来たところで、アスファルトの上に何かいるのに気が付いた。近付いてゆくと、それは大きなヘビトンボであった。“ラッキー!”と思いながら翅を指の間に挟んで、持ち帰ることにした。
 札幌に来て9年目になるが、これで2匹目である。ただ最初のは豊平川の橋の上で、既に死んでいた。今回は、綺麗な黄色い斑紋をちりばめた翅が、まだ美しい。ふと腹部を見ると腸がはみ出していた。何も悪いことをしていないのに、無下に踏み潰したりするのであろうか。悲しくなってしまう。
  情報の小窓
『お金にならなくても、他人のためになる仕事をすることを喜ぶ、他人と協力できる、純粋に遊ぶことができる、ぐっすりと眠れる、他人より働くことを損と思わない、勉強が好きである、リーダーシップがあるというような人は、損害に対していつまでもこだわらない。
 他人より働くと損をしたと思う、仕事といえばいやなことと思っている、不眠症になりがちである、仕事という口実がないとなかなか遊べない、明日のことをいつも心配しいるというような人は、損をすると、未来永劫に後悔し続ける。』
 PHP研究所「成功と失敗を分ける心理学」加藤諦三著

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