夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その169 発行日   2015年10月25日
編集・著作者    森 みつぐ
  季節風
 窓から見えるエゾヤマザクラの葉が、この一週間の間に一段と色づいてきた。山々の緑もすっかり色褪せてきて、秋色が濃くなってきた。いつまでも咲いていたムクゲの花も終わり、今は、民家の庭に菊の花が咲いている。そして、これから咲く菊もある。
 台風や爆弾低気圧の強風により、イチョウの葉は、色づく前にかなり落ちてしまった。これから黄葉するのだが、今年はどうであろうか。先日の暖かい日、国道の歩道を自転車で走っていたら、車の騒音に交じってハネナガキリギリスの鳴き声が聞こえてきた。カンタンの声も聞こえなくなったのに、これが最後であろう。
  言いたい放題
 「菅官房長官は13日午前の記者会見で、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が世界記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺の文書」を登録したことに関し、ユネスコへの日本の分担金の停止や削減を検討する考えを示した。菅氏はユネスコの審査過程を「秘匿、秘密の中で行われている。日本政府としてどんな文章が出ているかさえ見ることが出来ていない」と批判。制度改革を促す手段として「分担金の支払いの停止等を含め、あらゆる見直しを検討していきたい」と語った。(読売新聞より)」
 このニュースを聞いていて、日本は大丈夫かと思ってしまった。世界記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺の文書」を登録したということではなくて、不透明な審査過程だと批判し、分担金の支払いの削減や停止を検討するというところである。気に喰わないことがあると、金に物を言わせて駄々をこねる大国アメリカや中国と同じような国に成り下がってしまったようである。
 もっと恐ろしいことは、気に喰わないことがあると、アメリカや中国、ロシアのように武力で威嚇するようになることである。金や武力に物を言わせるようになったら、もうその国は、ヤクザとそう変わらないのではないだろうか。ユネスコの審査過程が不透明だと言うならば、それを改革するように内部から是正してゆく努力をすればいいだけである。
  つくしんぼの詩
 自転車の走行マナーが問題になっている。私が歩道を走るときは、いつもルール通り徐行運転である。私が、他の自転車を追い越すことはまずない。たまに、お年寄りが目一杯漕いでも遅すぎて、私が追い抜かざるを得ない時がある位である。若い者は当然だが、中年でも老人でも、ペダルを漕ぎながら、あっという間に追い抜き見えなくなってしまうのである。
 いつも思うのだがスピードを出したかったら、車道を走れと。そして最近では、坂道を上りながらのんびりと走っていると、その横を涼しい顔をして老婦人が追い越してゆくことが良くある。“えっ!”と思って自転車を見ると、やはり電動自転車である。警察が、“徐行運転!車道側を走れ!”と連呼しても、どこ吹く風で歩道を疾走してゆく。
  虫尽し
 毎年のように我が家のベランダに赤褐色のビロウドコガネが飛んでくる。それも2種類いる。1種類は、アカビロウドコガネなのだが、もう1種類がどうしても分からなかった。私の持っている図鑑は少し古いので、他にも北海道には赤系のビロウドコガネがいるのだろうと思っていた。
 最近、新しい図鑑を手に入れたので確認したら、ハラゲビロウドコガネであることが分かった。芝苗の移植によって日本各地で記録されているようである。これも、グローバル化の一環だろうか。
  情報の小窓
『未解決な問題を解決するとは、すでに述べた逃避のメカニズムを選択するのではなく、孤独を恐れずに自分を選択していくということである。自分の判断で行動し、その結果に責任を負うということである。気に入られることよりも自分の確信のほうを選択し、それを繰り返し選ぶということである。心の葛藤を解決するために、人に迎合したり、人を攻撃したり、ひきこもったりすることより、自分の内面と正直に向き合うことである。
 そのような行動を積み重ねていくということが、未解決な問題を解決し、心理的に成長するということである。』
 PHP研究所「不安のしずめ方 人生に疲れ切る前に読む心理学」加藤諦三著

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