夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その17 発行日 2000年9月26日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 今年に夏は、暑かったというのが周囲の声であるが、私にとっては、この夏は暑いというほどでもなく寝るときは扇風機を止めていた。
 年々、暑くなってきているみたいだが、主に大都市圏のコンクリートジャングルに集中しているのではないだろうか。熱を吸収蓄積して、なかなか冷めない。熱帯ジャングル内の高湿度による温度効果と何ら変わらない。でも、そんな大都会にも秋が来たみたいである。
 裏道を歩いていると、夏を越えたピンクのサルスベリと秋の彩り、赤い彼岸花が庭先で咲き競っていた。日は、一層短くなってきた。
  言いたい放題
 教育改革国民会議の中間報告が、22日公表された。今後は、国民の幅広い意見を聴き、最終報告にまとめてゆくとのことである。
 子どもの荒れは、学級崩壊や数々の犯罪に象徴されなくても、普段の生活態度に見て取ることができる。周囲の大人が、それを感知できないとしたら、多くの大人が余りにも鈍感になってしまった故ではないだろうか。教育改革は、子どもだけが必要な訳ではないかも知れない。
 報告書の中に、「・・・教育は社会の営みと無関係に行われる活動ではなく今日の教育荒廃の原因は究極的には日本の社会自体にあるといえる。・・・」とある。教育改革が実行に移されてゆくのは、まだまだ先である。しかし今、子どもを育てている家庭では、呑気に構えていられない。私たち一人ひとり、今できることを家庭で地域社会で行ってゆくことが大切である。
 母親が子どもに、”遊んだら、片付けなさい”と言っても、父親は新聞を読んだ後、散らかしっぱなし。赤信号の横断歩道を待つ親子連れの横を、平気で渡ってゆく大人たち。今の大人は、子どもにとって、反面教師にしかなり得なくなってしまった。子どもは、親の背中を見て育つことを忘れてはいけない。
  つくしんぼの詩
 韓国で、空港からソウルの市内へ向かうバスに乗った。するとまもなく、前から後ろからと甲高い電子音が響いてきた。そう、携帯電話である。後ろめたさもなく、大きな声であちこちで喋って公共も場を私物化している。
 他の人もそうしているから、仕事で使用するからいいのだろうか。確かに便利である。しかし、便利だからといって諸手を挙げて賛成する訳にはいかない。便利な物ほど、最終的に人間を不幸にすることを肝に銘じて、一定の距離を保ちながら利用したい物である。
  虫尽し
 スリナムという国名を聞いても、ピンとくる人は少ないだろう。南米カリブ海側に位置する本州の2/3ほどの小国である。人口は、50万人足らずなので、海岸沿いにある町を除いては、観光客が宿泊できそうなホテルはなく、また内陸部の保護区には、泊まり込みのツアーがあるが採集はできない。さて、困った。でも諦めない。・・・・・・”あ!モルフォだ!!”
  情報の小窓
 『現代産業文明をその最先端において担う先進国の人々は、@雇った人たちをとことんまでこき使うばかりか、A自分自身の命を縮めてはばからないほどがむしゃらに働き、B自国だけではなく他国まで足を伸ばして、多大の迷惑をかけながらそれを省みず、C貴重な環境を惜しみなく破壊していささかも反省しない−等々の無理をあえてする点で、たしかに非常な変わり者である。』
 PHP新書「経済学の終わり」飯田経夫著 (経済学)

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