夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その180 発行日    2016年9月25日
編集・著作者    森 みつぐ
  季節風
 毎日、真っ赤に色づいていたミニトマトも、葉も茎も枯れ始めてきた。ミニトマトの収穫も、もう終わりである。それに代わって、やけに草丈が伸びた菊が、可憐な花を咲かせ始めた。これからどんどん花が咲き、今月終わりには見頃になることだろう。いつも春に咲くシャクナゲの白い花が、何故か今年は9月に入ってから咲き始めた。
 私が通る道路沿いで8月下旬にはセミの聲と同時にハネナガキリギリスの鳴き声も聴こえなくなってしまった。例年だと9月下旬まで聴こえるのにと思っていたら、先日、畑からギース・チョンと聴こえてきた。でも、とうとう最低気温が10度を下回るようになってきた。
  言いたい放題
 「内閣府が27日発表した「国民生活に関する世論調査」によると、自身の所得・収入に「満足」と回答した人が48.1%(前年比2.4ポイント増)となり、2年連続で改善した。内閣府は、賃上げの動きの広がりが影響したと分析している。「不満」は49.6%で満足を上回ったが、差は前年の7ポイントから1.5ポイントに縮まった。(読売新聞より)」
 先月新聞に載っていた記事である。“本当!”と思ってしまった。所得・収入に「満足」が48.1%ということにである。半数の人たちが満足しているのである。非正規労働者が増え、格差が拡大して貧困層が増える一方の社会において、本当に半数の人たちが満足しているのであろうか。やはり私には、信じられない世論調査の結果である。
 全国の男女1万人を対象にしている調査だが、年齢も所得も分からないので何ともいえない。所得の低い人は、こんな調査に協力したところで何も社会は変わらないからと回答もしないのではないだろうか。どうも世論調査というものには、胡散臭い所があって、即信用するということにはならない。ただ、前回から増えたとか減ったという変化は、ある程度注目する価値があるのかも知れない。
  つくしんぼの詩
 ブラジルで開催されたパラリンピックを見ていた。障害者とは思えない競技内容で、驚くばかりであった。やはり全力で挑戦する姿は、健常者と何ら変わらず人々に感動を与える。
 ただ障害者スポーツを見ていて私は、いつも感じることがある。生まれつきや病気での障害者ではなく自動車事故で障害者になった選手は、どれだけいるのだろうかと。事故で人を殺したり障害者にしたりする自動車についての危険性をパラリンピックと同時に世界に訴える必要があるのではないかと見る度に思うのである。
  虫尽し
 ホームセンターの園芸コーナーで売られていた蜜柑の木で、順調にナミアゲハの幼虫は育っていた。2週間ぶりにホームセンターに行って、蜜柑の木を覗き込んでみた。葉っぱがかなり食い荒らされている。よくよく見ると、丸々太って立派になった終齢の幼虫を、3匹見つけてしまった。既に、蛹になったのもいたかも知れない。
 3匹とも、家に持ち帰ることにした。これで蜜柑の木も、丸坊主は避けられただろう。家では蜜柑の葉っぱがないので、グレープフルーツの皮を与えた。2匹は、無事蛹となり、その後羽化したが、最後まで幼虫だった1匹は、上手く蛹になれなかった。グレープフルーツの皮は一時しのぎでしかなかったようである。今度は、夏ミカンの皮で試してみよう。
  情報の小窓
『このうちの行政広報は、たいていの国では新聞や雑誌を使って広告をしています。が、マスメディアを使って政策広報をしている国は、ないと考えていい。なぜって、政府がやっている、あるいはやろうとしている政策には、国民の間に賛否両論があることが多い。それを一方的な意見広告として出すことは、それも国民の税金を使って出すことは許されないんじゃないか、というわけです。政府広報の問題を取り上げた「広告批評」の特集の中で、津留重人さんは、こう言っています。「もともと意見広告≠ニいうのは、少数意見にマス・メディアを開放するというのが建前であった。(……) 意見広告≠ェこうした強者のものとなることについては、マス・メディの側も考えるべきであろう。特に政府広報が意見広告≠フ場に出てきたことについては、いっそう問題がある」』
 集英社新書「成長から成熟へ さよなら経済大国」天野祐吉著

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