夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その181 発行日    2016年11月20日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 すっかり季節は冬になった。今年は、冬の到来がやけに早かった。気温も低く推移しているので、降った雪はなかなか融けて無くならない。それでも根雪には、まだのようで人通りからは雪は消えてしまっている。
 雪の重みで菊が倒れてしまっているが、まだ咲いている花もある。冬を越すために鉢植えのミニバラを花壇に植え替えたのだが、今は、赤い花を咲かせている。まもなく、この辺りも白い雪に埋もれてしまうだろうに。
  言いたい放題
 「消費者庁は、2010〜14年の5年間に全国の0〜14歳の子どもが死亡した不慮の事故を分析した。1歳以上では交通事故による死亡が多いが、窒息や転落、溺死も各年代にみられる。同庁は、特に6歳以下の未就学児の事故が多いとして、対策を進める方針だ。(読売新聞より)」
 1〜14歳の死因は、いずれも「交通事故」がトップだという。0〜14歳の子どもを対象にした調査である。多分、全年齢でも「交通事故」がトップとなるのではないだろうか。それほど交通事故は、死亡者そして更に多いだろう重軽傷者を生み出しているのである。もしかしたらパラリンピックが成立するのは、交通事故が頻繁に起きているからなのかも知れない。
 交通事故も不慮の事故扱いになっている。交通事故は、不慮の事故ではない。今の交通システムから考えて、ある確率で事故が起きることが推測されるから保険が成立するのである。事故が起きれば、死ぬ人、怪我をする人が生じるのは明々白々である。人命よりも経済成長の方が大事なのである。他人を傷付けることより、他人の命を奪うことより、自分が楽すること、得することを優先するという利己主義が為せることなのである。人間の本性を100%開放させると、いつか人間は滅ぶことだろう。私は、人間は他人を思いやることができると信じているのだが。
  つくしんぼの詩
 交通事故での入院からやっと退院して、スーパーで買い物をして帰る途中だった。バス停に向かうために、4車線の国道を渡っていた。交通事故の影響でゆっくりとしか歩くことしかできないのだが、横断歩道を渡り切る前に青い信号が点滅してしまった。
 高齢者がやっとの思いで横断歩道を歩いているのを見かける。車は、その歩行者を見ないで信号だけに反応していることがある。恐ろしいことである。私は今、高齢者のレベルにいる。人、自転車、車の動きが、健常時の今までとは違って見えている。
  虫尽し
 8月、いつもエゾイラクサで見かけるアカタテハの幼虫が綴った巣をハルニレで見つけた。他にも巣がないかと別の枝を見ていたら、巣もないのに幼虫だけがいた。“あれ!変だな?”と思って良く良く見ていたら、その幼虫はシータテハであった。
 8月にシータテハの幼虫というのも珍しい。北海道では、シータテハは1化なのだが、この幼虫は2化目のようである。同じところにシータテハの卵も産み付けてあったので、育てるために家に持ち帰った。
  情報の小窓
『「成熟社会」については、はるかに早く一九七○年代のはじめに、物理学者でノーべル賞受賞者のデニス・ガボールさんが『成熟社会−新しい文明の選択』(林雄二郎訳/講談社)という著作を発表しました。この本の中でガボールさんはこう言っています。「富がたえず増加しつづけてきた過去四分の一世紀の間、ほとんどの人々は指数関数的成長は無限にはつづけられないという、この明らかな事実を直視する勇気がなかった。」そして、成長社会は否応なく成熟社会へ移行していくとガボールさんは言い、「成熟社会」の姿を具体的に描きました。「成熟社会とは、人口および物質的消費の成長はあきらめても、生活の質を成長させることはあきらめない世界であり、物質文明の高い水準にある平和なかつ人類(homosapiense)の性質と両立しうる世界である。」と、この本の中で、ガボールさんは成熟社会を定義しています。』
 集英社新書「成長から成熟へ さよなら経済大国」天野祐吉著

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