夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その185 発行日    2017年3月19日
編集・著作者    森 みつぐ
  季節風
 雪融けのシーズンに入った。幹線道路は排雪が進み、歩道も7〜8割はアスファルトが見えてきた。街路樹は、根元の排雪による痛々しい生傷が寒風に疼いているようだ。しかし幹線道路から一歩奥に入ると、まだまだ道路は雪に埋もれている。
 母の部屋に置いてある鉢植えの花は、1月からデンドロビウム(ラン)やブーゲンビリヤが咲き、今は、カランコエやハイビスカスの花が開き始めている。もう春の彼岸入りである。
  言いたい放題
 「時間外労働(残業)規制の最大の焦点だった繁忙期の上限が、「月100時間未満」との表現で事実上決着した。経団連と連合がともに組織内に不満を抱える中、安倍首相の「政治決断」で連合の顔を立てた形だ。政府が「働き方改革」の旗振り役となる中、長時間労働是正に向けた一歩を踏み出した。(読売新聞より)」
 長時間労働を是正するための残業規制のはずなのに、「月100時間」とは何なのだろうか。「以内」とか「未満」とかは、どうでもいいことである。毎日定時帰宅ならば、一月の労働時間は約160時間である。残業80時間では、総労働時間は50%増となる。残業100時間だと、62.5%増である。残業80時間でも、労働時間以外の時間は12時間しかない。睡眠、食事、昼休み、風呂、通勤等の時間を加算してゆくと時間が足りなくなるのは明白であろう。まして残業100時間なんて、以ての外である。
 長時間労働を前提に出来上がってしまった日本の労働システムを根本から変えるには、残業100時間、たとえ80時間だって日々の生活に支障をきたすことになり、全く長時間労働の是正にはならないだろう。残業“0”でも経営が成り立ち残業“0”でも労働者の生活が成り立つ労働システムの構築、金や物よりももっと大事なものがあることを労使ともに知るべきであろう。
  つくしんぼの詩
 雪融けが進み車道からは雪が消え、乾いたアスファルトが見えている。国道の歩道を歩いていると、今年初めて車道を走っているサイクリング車を見かけた。真冬でも、ときどき自転車に乗っている人を見るが、もちろん車道ではなく雪で狭くなった歩道を走っている。冬の雪道は、自転車に乗ること自体が危ないし、転倒時に歩行者を巻き込むかも知れないので乗るべきでないだろう。
 自転車と自動車は同じ道路上を走るべきではない。事故時には、100%自転車が危害を受けるのだから。歩道を自転車が走るときには、徐行運転でなくてはならない。いつどんな時でも停止できるスピードでなくては、歩行者を傷付けてしまうから。
  虫尽し
 先日、天気のいい日、ベランダの窓から外を見ると、窓ガラスに何かが付いているのに気が付いた。“なんだろう!”と思って近付いて見ると、窓ガラスの外にユスリカがへばりついているのである。ときどき部屋内で飛んでいるクロバネキノコバエ以外では、今年初めて見た虫さんだった。
 毎年、2月には、テレビのニュースで初蝶だの虫さんが登場する春を告げるニュースを見るのだが、今年は、何故かそんなニュースをまだ見ていない気がする。札幌では、初蝶にはまだ一月待たなくてはならない。
  情報の小窓
『しかし、グローバリゼーションが加速したことで、雇用者と資本家は切り離され、資本家だけに利益が集中していきます。二一世紀の「空間革命」たるグローバリゼーションの帰結とは、中間層を没落させる成長にほかなりません。
 グローバリゼーションをヒト・モノ・カネの国境を自由に越えるプロセスであると捉えている限り、それはグローバリゼーション推進論者や礼賛論者の思うつぼです。
 こう定義すれば、「周辺」に置かれている国や地域、あるいはその国の企業が、グローバリゼーションに乗り遅れてはいけない、乗り遅れることは死を意味するなどといった強迫観念に駆られ、グローバリゼーション政策に邁進することになるのです。金融ビッグバンしかり、労働の規制緩和しかり、最近ではTPP(環太平洋経済連携協定)しかりです。』
 集英社新書「資本主義の終焉と歴史の危機」水野和夫著

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