夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その25 発行日 2001年7月15日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 夕暮れ前の街路をジョギングしていたとき、ふと民家の庭に咲いている花を見た。”ふと”と云うより私の場合、街中を歩いているときも、いつも緑と小動物を眺めている。人や車を見ていても、安らぎは得られないから。
 そのふさふさした花に、なんと大きなマルハナバチ(多分、コマルハナバチだと思う。)が訪れていて、頭を花弁の中に潜らせてお尻だけをふりふりさせていた(ふりふりは、私の気のせいかも知れない!?)。愛鷹山が近いと云えば近いのだが、こんなところで見かけるとは。
  言いたい放題
 昨日、テレビを観ていると、一年前経営破綻した大手百貨店そごうの再建への取り組みが報道されていた。その中で、各店舗は、毎月売上高の上位3名を発表して、実績主義の徹底を図っているとのことだった。日本中で、能力主義・実績主義が謳われている。国家までが、日本再生の唯一の手段だと連呼している。強者の論理故に、私こと弱者は、怪しまざるを得ないのだが。
 そんな報道を聞いていると、ふと思い出したことがある。一昨年、金融ローン日英の社員が恐喝まがいの取り立てをして世間を騒がした。この時、日英の社内では、レベルの差はあるにしろ、このように競争心を煽っていたことは確かである。
 直接、不可能に近い数値を上げて達成せよと云わなくても、順位を発表すると云うことは、当然暗黙のうちに労働者にプレッシャーを掛けていることと同じ事である。経営側は、実績主義の徹底だと云っても、実際は、労働強化の一手段に他ならない。
 今後も、グローバルな競争社会の到来を背景にして、経営側は、ここぞとばかり労働強化に拍車を掛けることだろう。
  つくしんぼの詩
 ジョギングをしていて鍵を落としてしまった。引き返すとき、アパートまで下をじっと見つめながら走ったのだが見つけることが出来なかった。ドアが、ご主人様を覚えていて、”開くかな!?”と思ったけど、冷たいもんである。仕方ない。最後の手段、出てくるときに開けておいたトイレの窓から入ることにする。”見ちゃ駄目よ!!”・・・
 次の日、ジョギングをしようと思いシューズに足を入れると・・・。すっかり鍵におちょくられてしまった。
 戸締まりには、要注意!トイレの窓にも、油断せず!!
  虫尽し
 エルサルバドルで昆虫採集を終えての帰り道でのことである。五月蠅くまとわりついてきた虻を振り払っていたら、突然、虻が攻撃してきた。”なんだ!このアブめ!!”なんて思って、更に振り払っていると、首筋を刺されてしまった。虻と思っていたのは、実は、汗に含まれている塩分を吸いに来ていたミツバチだったのである。
 もう、走るしかない。こんなところでジョギングするとは、思ってもいなかった。
  情報の小窓
 『自己が自己を肯定しようとすることは自己が自己に執着することであり、この執着によって自己と世界の対立は超えがたいものとなります。反対に自己が自己を否定し放棄することによって、自己と世界の対立は解消し、自己は主客の合一のなかにある真正の自己を発見することができるのです。』
 NHKこころを読む「西田幾多郎の思想(上)」小坂国継著(日本大学教授)

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