夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その31 発行日 2002年2月24日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 もう2〜3週間前から沈丁花の花が、咲きそうで咲かない状態が続いている。南斜面の暖かい場所ならともかく、民家の庭々に植えられた梅は、開花にはもう少しと言う感じがする。
 沼津からの富士山は、手前にど〜んと腰を下ろしている愛鷹山越しに、白い雪の被った頂の部分が見えている。西高東低の気圧配置になると、冷たい北西からの風が澄み切った空気をもたらしてくれる。そして一層美しい富士山が映える。しかし今、富士山を隠している愛鷹山は、花粉の巣窟と化して、花粉症の人にとっては、大変辛い季節になってきた。
  言いたい放題
 地球温暖化防止に向けての京都議定書から離脱していた米国が、独自の温暖化防止策を提示した。各国に義務づけた温室効果ガスの排出量に不満を持っての代替え案なので、その内容は、京都議定書と比べようがない。
 米国は、あくまでも経済成長至上主義である。経済的価値のない小国は、海の藻屑のなろうとも、経済成長の足枷となるかも知れない温室効果ガス削減というリスクは、負わないと言うのが米国のスタンスである。米国という一国だけの大国時代は、米ソ二大国の時代よりも、世界の不安定要素は、増えてしまったようにも思われる。価値観の大きな相違のある国同士は、やはり力と力のバランスの中でしか安定しないのだろうか。そう言う意味では、核の抑止力を否定できないが、知恵を持った人間としては、余りにも情けない。やはり、テロはなくなりそうもない。
 右肩上がりを維持するために、どれだけ犠牲を払えばいいのだろうか。国もそうだが、企業も、家庭も同じように思われてくる。右肩上がりという呪縛から解き放されない限り、地球の平和、心の平和は、やってこないような気がする。
  つくしんぼの詩
 最近の遺伝子操作は、空恐ろしいものがある。クローン羊のドリーに始まり、今では、ペットのクローン猫まで生み出されている。クローン人間なんて、何の造作なく作られてしまうだろう。先日、新聞には、ほうれん草の遺伝子を組み込んだ豚についての記事が載っていた。写真画像を処理して、腹部をほうれん草に置き換えているみたいなものだ。この豚の肉を食べると、ポパイになれるかも知れない。
 知らず知らずのうちに、食卓が、こんな物で賑わっている時代が、まもなくやってくるかも知れない。
  虫尽し
 ジンバブエの町ムタレ郊外の丘で採集していた。
 フタスジツマアカシロチョウを採っていると、初めて見るキマダラルリツバメが近くに止まったので、これも掴まえた。まずは、キマダラルリツバメを片付けようとして指で掴まえていたら、手前から黄色い大きなカミキリムシが飛んできた。慌てて脇に挟んでいた網でカミキリを掬おうとしたのだが、網の縁に乗ってしまった。右手にチョウを持ちながら逃げるなよと念じていたら、それを知ってか知らずか、カミキリはお尻をこちらに向けて飛んでいってしまった。
  情報の小窓
 『「自分はいかに生きるべきか」と問う前に、まずは生きる主体である「自分とはなにか」と問うべきです。なぜなら、その生きる主体である自分をはっきりと見究めなくては、生きる方法も分かるはずがありません。自分がなにであるかわからず、いわば幽霊の如き存在であれば、人生の道を誤り迷うことなく生きることはできません。』
 NHKこころの時代「宗教・人生 心の秘密を解く 仏教の深層心理・唯識(上)」横山紘一著

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