夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その32 発行日 2002年3月24日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 今年もモクレンやハクモクレンの大きな花が、天に向かって仁王立ちしている。これらの花を見て、ふと思うことがある。春麗らかなこの季節は、風の季節でもある。強風の中を千切れんばかりに、大きな花びらが舞い踊っている。日本の風土の中で、ちょっと無理して咲いているように思えたのである。
 図鑑で調べてみると、中国原産と言うことである。大胆に天に向かって咲くとこが中国らしい。日本に自生するコブシの花は、無理して天を向いてはいない。日本の奥ゆかしさ?が、ここにも現れている。
  言いたい放題
 昨年12月半ばに、中央教育審議会(中教審)の「新しい時代における教養教育の在り方について」の最終答申案が提出された。私は、今までもこの中教審の答申を、新聞紙上レベルだが目を通してきている。内容は、いつもご尤も、ご立派な内容である。あとは、どう実現化してゆくかなのだが、結局、文部科学相の及ぶところは、教育機関だけである。
 昨年暮れの答申案は、2月末に「新しい時代の教養教育」他2点と共に答申された。その中に、“[幼・少年期(十三歳頃まで)]テレビやゲームの時間制限など、規律ある生活習慣を身に付けさせるための「我が家の決まり」づくり”として、教育の原点は家庭であるとしている。
 ところで、今の父親不在の家庭に、そのような能力はあるのだろうか。私は、何度も書いてるが、就業時間が終われば、本人の自由な意志の下で帰宅する権利があるのにも関わらず、企業は、雇用権の濫用で常態化した残業を強要する。企業が地域社会を破壊し、家庭を破壊する。そして、最後に個人をも破壊する。企業は、悪の、破壊の原点である。
 教育においても、家庭にメスを入れる前に、企業にメスを入れない限り変わり様がない。日本の悪の原点を改革しなければ教育もおぼつかないだろう。
  つくしんぼの詩
 今回は、何とも不思議な気持ちになった記事について書く。アフリカで年間30万〜50万人が眠り病に感染し、その8割が死亡しているという。眠り病は、ツエツエバエが媒介する。そのツエツエバエを放射線で不妊化した雄を放して絶滅させるという作戦が行われるとのことである。この方法は、沖縄でも害虫のウリミバエで好成果を上げて根絶させた。
 これだけを読むと嬉しい記事なのだが、ツエツエバエは、もともとアフリカに土着している生き物である。生活圏を拡大してゆく人間にとって、害があるからと言って、本当に絶滅させていいものだろうか。どうも私には、すっきりしない記事だった。
  虫尽し
 今まで、いろんな国で、様々なレベルの宿泊場所に寝泊まりしてきた。ノミ、シラミ、ナンキンムシは、覚悟を決めながら泊まることが多いのだが、そんなに酷い目に遭ったことはない。ただ、私が鈍感なのかも知れないが。
 しかし、今回、旅をしたジンバブエのムタレでは違った。最初、綺麗なゲスト・ハウスだと思っていたのだが、4〜5日後、やっと気付いた。私が部屋に入るやいなや、黒いノミが、ピョン、ピョンと・・・。
  情報の小窓
 『法律やさまざまな社会規範というのは、荒っぽくいえば人目とか外聞の問題でしょう。誤解を恐れずにいえば、それらはごまかせますし、いつも漏れたり抜けがある。自分はしっかりしているつもりでも、いつの間にか自己を偽ったりごまかしたりしているというところもある。(多川俊英・法相宗大本山興福寺貫首)』
 NHKこころの時代「宗教・人生 心の秘密を解く 仏教の深層心理・唯識(上)」横山紘一著

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