夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その34 発行日 2002年5月26日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 GWも明け、平年通り沖縄では、梅雨入りした。本来なら静岡では、これから梅雨入りまでの一月間は、五月晴れの過ごしやすい日々が続くはずだったのだが、然に非ず、静岡では、梅雨入りしたかのような日々が続いている。
 晴れたら暖かいのだが、毎日のようにしとしと降られて梅雨寒状態になっている。通勤途中にある紫陽花の花は、早くも色づき始めてきた。しかし今週は、やっと晴れの日が続きそうな様子になってきた。本格的な梅雨入り前には、からっと晴れ上がってすっきりした気持ちでいたいものである。
  言いたい放題
 先週、NHKのクローズアップ現代を観ていたら、企業が設計不良を削減するために、業務内容を身に付けた後は退社させて、その後個人経営者として再雇用契約を結ぶするというシステムを採用しているとのことであった。設計不良を出せば、個人経営者に負担がかかり意識改革になるとの理由からである。
 企業にとって、尤もそうな理由付けは、恰も労働者のためになると言う風に、どうにでも繕うことができる。このシステムは、企業の人件費削減のための究極となる成果主義である。個人経営者になったからと言って、他の企業から仕事が入る訳ではない。経営者だから、いくら残業をしても残業代が支払われる訳ではない。そして企業と個人経営者とは、対等に折衝できるはずがないだろうから、一労働者として労働強化の煽りをもろに受けることだろう。企業は、このシステムを採用したことによって人件費は削減されて、業績は回復したとのことである。企業の経営リスクを全て個人に負担させて、業績が回復したと、それが企業のすることなのだろうか。
 最近成果主義とか見なし裁量労働制とか称して、一方的に企業が負うべきリスクを労働者に無理矢理負担させようと言う企業が増えてきている。労働するとは何か、企業とは何かを考えさせられた番組だった。
  つくしんぼの詩
 中国・瀋陽の亡命連行事件の鮮明な映像は、平和ボケした私には強烈な印象を与えた。彼らがやっと中国を離れて、韓国へ行けたことは大変良かった。
 それにしても何だろうか、あの中国という国は。国際法を遵守しようなんて、微塵も感じてない。日本も日本だが、その対応のまずさを逆手にとって、飽くまでも駄々を捏ねている単なるガキ大将である。そう言えば、海を越えた東にも、ガキ大将がいる。
 自立できない日本、これまた不安なことだらけである。抗議すべき点は、しっかり抗議し続けなくてはならないだろう。
  虫尽し
 プエルトリコの森林を歩いていても、さっぱり昆虫とは出会さない。今まで歩いた中でも、非常に少ない部類に入る。
 ところが、その中でも小形のアシナガバチはよく見かける。アシナガバチは肉食性だから、餌となる昆虫はそれなりにいるのだろう。このアシナガバチは、風変わりな巣を造っていた。最初、“何だろう?”と思っていたのだがアシナガバチが陣取っていた。もう一つ、普通の巣も見かけたのだが、私には、同じハチに見えたのだが別種?
  情報の小窓
 『アメリカの諸大学では、法人企業において支配的な基準を大学に持ち込もうとしている。知識が金銭的利益をどれだけ生産したか、という市場的基準が導入され、大学における研究者は、有用な知識をどれだけ生産したか、学生を何人教育したかという外的な基準に従って評価される。大学自体も、利潤最大化という企業的条件のもとで経営されることになる。』
 岩波新書「社会的共通資本」宇沢弘文著

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