夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その47 発行日 2003年10月19日
編集・著作者    森 みつぐ
  季節風
 先日、北海道に行って来た(帰った)。今年、札幌の夏は、涼しい夏だったみたいであるが、秋のこの時季は、例年通りの気候だった。毎年、この時季札幌に帰るのだが、やはり少しずつだが暖かくなってきているような気がしている。
 札幌から温泉のある定山渓を通り、標高700mほどの中山峠を通り抜けてゆくと、辺り一面が黄色に染まっていた。ダテカンバの葉が、見事なまでに黄葉していたのである。点在するナナカマドの真っ赤な葉と松の濃い緑の葉との調和が、何とも美しい。もうすぐ、ここ静岡県も紅葉・黄葉の秋になるだろうか。
  言いたい放題
 実り豊かな秋を迎えたのだが、毎日のように果物や新米の盗難事件のニュースが放映されている。こんな頻繁に盗難ニュースを聴くのは、始めてである。家に鍵を掛けなくても、安心・安全だった日本の筈だったのに、全てが崩壊してしまっている。
 犯罪は、増える一方である。飲酒をしながら高速道路を走り続けるバス運転手、そして毎日のように死体が何処彼処で見つかっている。幼児誘拐も絶えない。どうなってしまったのだろうか、この日本は。
 いち日、自分の身の周りに起きることを見渡してみるだけでも、モラルの低下した行動が目に入ってくることだろう。交通マナーは、歩行者も自転車、バイク、自動車も最低である。ゴミのポイ捨ても最低である。
 不況が長引き、人々の心は荒んでくる。そして犯罪は、増加する。しかし今の日本は、そんな単純なものではない。もう数10年前から日本は、企業を中心に、このレールに乗ってしまった。全てを崩壊し尽くすレールに。
 そして今、小泉首相は、自民党をぶちこわすと言いながら、実のところ、この日本をぶちこわすことに拍車を掛けている。日本人の心は、既に半壊しているというのに、だめ押しの一撃を加えようとしている。
  つくしんぼの詩
 いつも、いつも交通事故のことばかりを書いているような気がする。多分、このことはずっと続くことだろう。今年も、お年寄りの交通事故が多発している。お年寄りには、このスピードアップした交通事情に適応することは難しい。だからと言ってお年寄りに、外出禁止令を発令することはできないだろう。
 日本の交通マナーは、何故こんなに低下してしまったのだろうか。本来あるべき光景は、弱者が安心して道路を使用し、強者である車が隅っこを通り過ぎてゆくことであろう。車を運転する者は、このことを肝に銘じて運転すべきである。
  虫尽し
 想像していた緑豊かなロッキーからほど遠く、僅かな木々の緑と枯れ草で彩られていた。ソルト・レイク・シティの町は、山の懐近くまで迫っていた。
 谷間に残った貴重な緑の中での採集を終えて、帰る途中だった。始めてきたところなのに、来たときとは違う道を通って戻っていた。40度近くある中を歩くのは、ちょっと厳しい。まだ体がここの気候に順応していない。息も絶え絶え歩いていると、目の前に白いチョウが小さな紫の花に訪れていた。“モンシロチョウかな?”と思って、じっと見ていたら違うことに気が付いた。車が往来するが、ここは気にしていられない。バッグから予備の網を引っ張り出して、上から被せた。“やったね!”すぐ脇を、車が1台通り過ぎていった。
  情報の小窓
 『毎日遅くまで仕事に明け暮れ、少し時間があればすぐ外に出かけていって、気がついてみれば妻とはゆっくり話をしていない。たまに日曜に時間があると何をすればいいのかわからなくなって、どうにも落ち着かなくなってしまう。日本のお父さん方の多くが思い当たる話ではないでしょうか。』
 NHKこころをよむ「生きがい発見の心理学「自分」を生きる「運命」を生きる[下]」諸富祥彦

Copyright (C) 2003 森みつぐ    /// 更新:2003年10月19日 ///