夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その52 発行日 2004年4月18日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 ツツジのピンクの花が咲き始めた。フジの濃い紫色の花も咲き始めた。そう言えば、道の傍らには、ナガミヒナゲシの気の早い、ちょっぴり萎れた紅色の花も咲き始めた。アスファルトのほんの僅かな隙間には、紫色のスミレが昨年よりも、より多くの場所で見受けられるようになった。ツマグロヒョウモンにとっては、願っても無いことであろう。
 小鳥の囀りも始まった。鶯色のメグロが庭の枝先に止まって、しきりに心地好い囀りを繰り返す。柿の木の若葉が萌え始め、鮮やかな明るい緑が景色の中に映えている。
 家の中で冬眠した虫さんたちも、もうそろそろお目覚めしても言いと思うのだが、まだかな?
  言いたい放題
 少子高齢化社会が急速に進む中、これからの年金改革が論議されている。
 履き違えた自由主義やら競争至上主義とやらで、すっかり様変わりしてしまった日本社会は、良かった治安さえ悪化の一途を辿っている。国を支え、社会の安定さに貢献してきた労働者の老後の安心である皆で支え合おうという国民年金は、利己主義の餌食になってしまっている。4割近い国民年金の未払いは、私には、この国の人々が既に、心の行き場を失ってしまっているように思えてならない。
 私たち一人ひとりは、非力かも知れないが知恵を持っている。人は、群を為して生きる動物である。ならば、この状態を打破するためにはどうしたらよいのか考えるべきであろう。人は、生まれて死ぬまで一人では生きられないのである。国民年金の未払いは、非常に残念なことである。
 このような社会における人々の変化を見過ごしたままで、年金改革を進めても、また暫くすると破綻する可能性は大いにある。
 失われてしまった人々の心を恢復するためには、何が必要なのだろうか。とても大事なことである。国に任せず、一人ひとりが考え行動すべきであろう。
  つくしんぼの詩
 イラクの日本人人質事件は、犯行グループの解放声明から暫くかかったが解放された。
 日本政府は、「テロリストに屈しない」と言い放ち、犯行グループの要求である自衛隊の撤退はしないと明言した。米軍は、相変わらず力に物を言わせてねじ伏せようとしている。国連の主導に寄らない米軍統制下における自衛隊の派遣は、米軍の派遣と同じなのである。
 「テロリストに屈しない」は正論かも知れないが、間違った判断による派遣でも、そうなのだろうか。メンツにこだわる日本政府は、善意でイラクにて活動している人々を見捨てようとしている。
  虫尽し
 南アフリカ南部の町ジョージにある山の林道を歩いていた。少し乾燥気味だが、内陸部よりは緑が多いところである。
 昆虫は、多くなく何かいればラッキーである。ゆっくり林道を歩いていると、前方で蠢いているものがいた。近付いて行くと、大きなゴキブリがのしのしと歩いていた。面白そうなゴキブリである。更に近付くと、お尻を揺り動かして威嚇?している。ダンゴムシの大きいのみたいだが丸まることはない。ましてすばしっこく走り廻ることもない。美味しい・・・?
  情報の小窓
『豊かな物に相応するだけの心のつながりを大切にすることに、もう少しエネルギーを使ってはどうだろう。足もとにある沢山の果物のことを忘れ、高い木になっている果物と取り合いするために、われ勝ちに高く登ろうといがみあっている群衆。日本人はこんな姿にならぬように、まず人と人とがつながって分け合う楽しみを見出して欲しい。』
 読売新聞「日本人はいま幸福か」河合隼雄

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