夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その57 発行日 2004年11月28日
編集・著作者    森 みつぐ
  季節風
 やっと沼津でも、街路樹の落ち葉が目立ち始めた。朝晩は、ちょっぴり冷え込み始めたが日中は、まだ20℃近くまで気温が上がる。
 毎年11月は、標本箱の整理を行う。全ての標本箱の乾燥剤と防虫剤を入れ替え、今年の採集品を追加するのである。11月と言えば、西高東低の冬型の気圧配置となって乾燥した日々が続く。しかし今年は、雨、また雨の連続であった。
 窓先のツツジの葉っぱで、未だにカネタタキが元気に鉦を打ち鳴らしている。
  言いたい放題
 前回、話題に挙げたばかりなのだが、また今回もサービス残業についてである。あの東電が、2年間で14億円に上るサービス残業を行わせていたとのニュースがあった。驚きはしない。サービス残業は、何処の企業でも常態化していることだろう。数十年来に亘って、築き上げられてきた社風みたいなものかも知れない。これも、会社のためにである。社内の倫理規定に幾ら「法遵守」と謳われていても何の効果もない。倫理委員会が、どんなに説明をしたところで、胡散臭さが残るだけで何の効果もない。労働者は、それをまともに受け止めはしない。管理者側の雰囲気との乖離があるので、いつも労働者はプレッシャーを感じている。
 それに対して労働組合は、何の対策も講じないでいる。それどころか見て見ぬ振りをして、素知らぬ顔を押し通すだけである。御用組合と化した日本の労組は、労働問題には目を瞑って黙視を続けるという労働者のための変な組織となっている。
 労働基準監督署には、もっと監視を強化して欲しいのだが、それに伴って企業側は、当然の如く別のところでそれを補おうとする。そして結局、弱者である労働者にそのしわ寄せが押し寄せてくることになる。法に遵守するかどうかとは無関係に、企業の方針に無批判に受け容れることが企業内で生き延びる術である故、この問題は、いつまでも続くことになる。
  つくしんぼの詩
 奈良県で起きた小学生の誘拐殺人事件は、まだ犯人が捕まっていないので何とも言えないが非常に不可解な事件である。子どもを持った親たちにとって、それでなくても不安な社会となってしまったこの日本において、更なる不安を助長する事件であったことだろう。
 安心できないこんな日本の事情もあって、最近子どもたちにGPS発信機を持たせて子どもたちを監視するシステムの導入が始まっている。
 文明が発達し、自由も拡大した。そして人の心は、未熟なまま文明の奴隷と化してしまっている。犯罪者は狙っている。文明のいたちごっこは終わりがない。
  虫尽し
 9月、10月に静岡県や神奈川県の山に入ると、しばしばアサギマダラに出会う。本当は、成虫よりも幼虫に出会いたいのだが、なかなか叶わない。アサギマダラは、亜熱帯のチョウなのだが、意外と海外へ行くと見つけられない。それよりも、この辺りのほうが良く見かける。
 芦ノ湖の畔で、アザミに吸蜜しに来ていたアサギマダラを見ていたら、ハイキングの人が足早に通り過ぎていった。驚いたチョウは、羽ばたいて消えてしまった。・・・残念!
  情報の小窓
『それから二つ目は、どうせ確かな価値は存在しないならというわけで、その場しのぎの刹那主義で快楽や享楽に現を抜かすことになります。刹那的な快楽主義(ヘドニズム)です。
 そして、もうひとつ、シニシズムの逆で、あることをいとも簡単に、しかも熱狂的かつ排他的に信じてしまう、もしくは信じたことにする態度が出てきます。・・(省略)・・しかし、一度信じるとその没入は熱狂的となる。一種の熱狂主義(ファナティシズム)といってよいでしょう。』
 PHP新書「人間は進歩してきたか「西欧近代」再考」佐伯啓思

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