夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その77 発行日 2006年11月12日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 立冬も過ぎ、天気図には発達した冬型の気圧配置が現れるようになった。朝晩は、少し暖房が欲しくなる。公園では、まだモンシロチョウやヤマトシジミが翔び回っているが、もうそろそろ冬支度が始まる。
 この季節、私のジョギング・コースにあるプラタナスが葉を落とす。と云うよりも、電線の邪魔にならないように枝ごと切り落とされる。当然、プラタナスには責任はないのだが、毎年、寸詰まりの太い幹と腕みたいな枝だけのみっともない姿を晒す。沼津の冬の情景である。
  言いたい放題
 なんとも悲しい子どもの自殺が頻発している。いじめをきっかけとした自殺は、マスメディアを介して、一気に全国に広がってゆく。自殺は、問題解決のための最後の手段のはずなのに、純粋無垢な子どもが自殺に追い込まれるようなことが、この世の中にあっていいものだろうか。
 いじめはなくならない(そう云えば、"格差があるのは当然"と云っていた前首相ならば、"いじめがあるのは当然"と云い放つかも知れない)。だとすると、いじめを受けたとしても、自殺に追い込まれないようなシステムを作り上げる必要がある。日本人の国民性なのか、簡単に長い物に巻かれてしまう。見て見ぬ振りを含めて、無批判に権力に服従し、多数派に属することを是とし、そして積極的にそれを肯定する。それ故、いじめは途中で回避されることなく、一層深刻化してゆく。
 それ故、子どもたちを取り巻く大人たちがいじめに対して、もっと神経質になって見守ってゆく必要があろう。もし、その大人がそのいじめに加担することがあるならば、もっての外である。
 大人たちの背を見て育ってゆく子どもたちは、大人社会の縮図である。大人たち一人ひとりの自覚が必要だ。
  つくしんぼの詩
 好景気が続いていると云う。昭和40年代のいざなぎ景気を超え最長の景気となる見込みと云うが、多くの人たちには、その実感がない。これが、格差社会の結果なのだろう。
 企業は、労働者間の競争を煽るため能力主義、成果主義を導入し、切り詰めた人件費を極端な配分にして、格差社会に拍車をかけた。企業や国は、利益があがればそれでいいかもしれないが、行き過ぎた格差社会は、社会の歪みそのものを助長する。
  虫尽し
 私は、今年、退職して自由気ままな人生を送っている。今まで会社に合わせた休暇で旅行をしていたが、もう全てが私の一存で決まる。今まで、旅行のために幼虫の飼育を、余りしてこなかったが、今シーズンは先月まで我が家は、幼虫だらけであった。
 今週も、今年最後と思われる卵から育ててきたコミスジも無事羽化してきた。後は、アオスジアゲハ、セスジスズメ、オオトモエなどの蛹が、羽化の順番を待っている。いや、西表島のセスジスズメは、もう少しで羽化かな?!
  情報の小窓
『大事なことは、自分ただひとりの生きかたを通すことです。他人の生きかたに与しない。形の上では体制に順応することがあっても、こころのなかでは、絶対自分は一匹オオカミであると決意できたならば、ひとりで歩んでいるものへの共感や親愛の情がおのずと湧いてくるのではないでしょうか。』
 講談社「自力と他力」五木寛之

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