夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その87 発行日 2008年2月24日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 2月も下旬に入った。日は徐々に長くなり、日々の最高気温は、一気に氷点下を抜け出してしまった。昼間、プラスの気温になると雪融けが加速し、車道脇に水が溜まり、車が通ると歩道を歩いている歩行者が犠牲になる。私は、既に、その洗礼を受けてしまった。
 真っ白な雪に埋もれた民家の庭木を見ながら歩いていると、コブシの蕾が少し膨らんできていた。まだまだ寒い日が続いているのだが、植物たちは、しっかりと春を予感しているのだろう。
  言いたい放題
 アメリカのサブプライムローン問題を震源に、世界中で株安が進んだ。御多分に洩れず日本でも株安が進み、銀行などの損失が拡大している。金が儲かるとなると、猫と杓子も乗り遅れまいと、それに手を染める。世界中で、そんなことが繰り返されているのである。
 私は、こう言うニュースは馬鹿馬鹿しくて真剣に考えないことにしている。お金が唯一の価値観の象徴となっている人たちには、大変な問題なのかも知れないが、それしかないと言うのも悲しいことのように思える。一般の日本人には、この問題は関係ないように思われるが、世界中を回りまわって日本の経済も落ち込んでゆく。日本でのバブル崩壊のときも、まったく無関係な私にも、不況の波が、余り気にはならなかったが確かに押し寄せてきていた。
 それにしても私には、アメリカ人の国民性が理解できない。右肩上がりを全く疑わずに、自分の支払い能力を超えたローンを組むことは、私にはできない。日本人も、どんどんアメリカ化してきているし、そして日本政府も消費志向文化を国民に植え付けようとしているように思えるので、他人事ではなくなってきている。私みたいに、"現金で買えない物は買わない!"と言う人間は、今や、生きた化石みたいな人間なのかも知れない。
  つくしんぼの詩
 ながら族の私なので、また確かでなくて申し訳ないのだが、パソコンに向かいながらラジオを聴いていたら、「室蘭市市役所の昼休み時間が、60分から45分になったので、周辺の食堂が利用者が減ってしまい死活問題なので、60分に戻して欲しい。」と。
 15分短縮の45分は、外食して食べるには、短すぎるようである。何故、休み時間が45分になったのかは、私には分からないが、プライベートな時間を優先する私は、1分でも早く帰りたいので、昼休みが短いのは歓迎する。しかし公的機関は、市民(食堂)への配慮も必要なのだろうか?・・・!
  虫尽し
 ミニバスに乗って8時間、ベトナム北部の町カオバンに辿り着いた。閑散としたホテルに宿を取ったが、今日は、曇り空で、部屋の中はひんやりとしていた。
 部屋を明るくしようと思い厚いカーテンを開くと、窓の向こうは、隣の建屋の屋根が見えるだけだった。ぼんやり外を見ていると窓枠にハチの巣を見つけた。ツマグロスズメバチみたいなアシナガバチである。窓を開けて、じっと見ていたが、今日は寒いので動けない。"こんなところに巣を作ったら、危ないよ!"
  情報の小窓
『第一に、先述したように企業はここ一五年の長期不況の中で、非正規労働者を雇うことのメリットを経験したということが挙げられます。正規労働者の数を増やせば、労働費用が増えるだろうと企業は考えます。あるいは、労働者の雇用数を簡単に変動させることができるなど、非正規雇用のもっているメリットを失いたくないという意識も働くでしょう。したがって、新卒を中心に採用の増加を行い、既存の非正規社員は、そのまま既存の非正規労働者のままでおこうという姿勢が、企業に見られると私は考えています。』
 岩波新書「格差社会 何が問題なのか」橘木俊詔

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